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【特集】2022年の急上昇ブランド~本質的なブランディングの核に迫る~

信念であるパーパスを体現し、ブランド・お客様・社員を繋げていく。SK-Ⅱに学ぶ、ブランド体験の作り方

 プレステージスキンケアブランドとして、世界中の女性から支持されるSK-Ⅱ。「女性の肌だけでなく運命も変えていくこと」を目指し、ブランドパーパスを体現してきた日本の先駆者的なブランドでもある。日本市場を担当するP&G プレステージ執行役員の西田文彦氏に、ブランドの原点や「#CHANGEDESTINY」の背景、美容部員のトレーニングやデジタルツールの開発まで踏み込んだ、顧客体験向上への取り組みについてお話をうかがった。

SK-Ⅱの信念を表したパーパス「#CHANGEDESTINY」

――SK-Ⅱは、2016年から「#CHANGEDESTINY~運命を、変えよう。」を掲げ、女性をエンパワーメントするキャンペーンを展開しています。これはどのような背景からスタートした取り組みなのでしょうか?

 1980年に販売を開始したSK-Ⅱは、日本発のプレステージスキンケアブランドです。親子2世代で愛用いただいているお客様もいらっしゃるロングセラーのブランドで、中国をはじめとするアジア圏のほか、世界中で販売しています。

P&Gプレステージ合同会社 執行役員 事業代表 西田文彦氏大学卒業後に国内医療機器メーカーの海外営業として勤務した後、2011年にP&Gに入社。入社後は一貫してSK-Ⅱのブランドマネジメントを担当。上流の事業戦略から始まり、流通、マーケティング、店頭販売まで幅広い領域の業務を経験。SK-Ⅱの日本市場における事業を統括している現在も、全国各地の店頭へ足を運び美容員や顧客と接することを大事にしている。
P&Gプレステージ合同会社 執行役員 事業代表 西田文彦氏
大学卒業後に国内医療機器メーカーの海外営業として勤務した後、2011年にP&Gに入社。入社後は一貫してSK-Ⅱのブランドマネジメントを担当。上流の事業戦略から始まり、流通、マーケティング、店頭販売まで幅広い領域の業務を経験。SK-Ⅱの日本市場における事業を統括している現在も、全国各地の店頭へ足を運び美容員や顧客と接することを大事にしている。

 #CHANGEDESTINYは、「肌が変われば、生き方も変わる」というブランドの芯にある思いを表したものです。私自身も、SK-Ⅱを長年使われているお客様へのインタビューで「出産や子育てで忙しく、自分のケアをする時間もなかった。肌の調子が良くないときは友人に会ったり外出したりする気にもなれなかったが、SK-Ⅱに出合って自分の肌に自信が持てるようになり、積極的に外出するようになった」というお話をうかがったことがあります。SK-Ⅱは単なるスキンケア製品ではなく、お客様の気持ちを前向きにし、生き方すらも変えていく力があるのだと実感したエピソードでした。現代は様々な社会課題があり、特に自身のキャリアとライフスタイルの間で悩む女性が増えています。そんな時代にあっても、勇気を持って一歩踏み出し、自らの意思で運命を切り開く。SK-Ⅱはその後押しをするブランドでありたいという信念を、#CHANGEDESTINYに込めています。2016年当時から今後50年100年と続くブランドになることを見据えてこのテーマを掲げており、#CHANGEDESTINYはSK-Ⅱのパーパスになっています。

――日本でパーパスが広く注目されるようになったのはここ1~2年のことです。2016年から中長期的にパーパスブランディングに取り組んできたSK-Ⅱから学べることは多いのではないかと思います。SK-Ⅱでは、#CHANGEDESTINYを実現するために、どのような取り組みをされていますか?

 パーパスをきれいごとにしないためには、パーパスに基づくアクションを起こしていくことが重要です。たとえば、2021年7月には、女性のためのコミュニティであるmeeTalkと渋谷区と共同で、女性起業家向けの支援プログラムを実施しました。女性起業家は、自らの意思を持ってビジネスを立ち上げ、道を切り開いていく、まさに#CHANGEDESTINYの体現者です。コロナ禍で厳しい環境下に置かれた皆さんを支援すべく、デジタルスキルを学ぶ機会や人脈を広げる場を作りました。これもほんの一例で、2020年7月にはコロナ禍の最前線で対応にあたっている医療従事者の方々へSK-Ⅱの製品を寄付するプログラムを実施したり、環境保全への取り組みではSK-Ⅱのガラスボトルの回収プログラム「#CHANGEDESTINYfor EARTH」を全国で展開したりもしています。

2022年10月に、環境サステナビリティ活動の一環としてガラスボトルのリサイクルプログラム 「CHANGE DESTINY for EARTH」 の全国展開を開始
2022年10月に、環境サステナビリティ活動の一環としてガラスボトルのリサイクルプログラム 「CHANGE DESTINY for EARTH」 の全国展開を開始

 そして、パーパスに基づくこれらのアクションは、社内外に発信、周知していくことが大切です。なぜなら、パーパスには、お客様とブランドだけでなく、ブランドと社員をつなげる力もあるからです。

 こんなエピソードもあります。先述のプログラムを実施した後、医療従事者の方がわざわざ百貨店のカウンターへいらっしゃって「SK-Ⅱを使って気持ちが前向きに変わった」とお礼の言葉をくださった。その方に対応した美容部員は、SK-Ⅱが社会的な取り組みをしている意義を実感し、自分たちが成し遂げようとしている#CHANGEDESTINYへの共感がより高まったそうです。私自身、パーパスの力を強烈に感じた話でした。このように、対外的なアクションを起こすことと、その活動内容をしっかりと社内外に発信していくことが、パーパスを組織に浸透させ、実現に近づけていくためのポイントだと考えています。

――パーパスを軸にしたブランドキャンペーンを実施するとき「そこから実利が生まれるのか?」という議論が度々出てきます。SK-Ⅱでは、パーパスとビジネス成長の折り合いをどのようにつけられていますか?

 中長期的にブランドの価値を高めていくことを考えるとき、パーパスの存在はとても重要です。一方で、やはりビジネス的な部分も求められますから、持続的なビジネス成長とブランド育成を図るには、パーパスに基づく活動と商品訴求のプロモーションの両輪が必要だと考えています。そのためSK-IIは#CHANGEDESTINYというブランド信念のもと、商品を通じて肌の運命を変えたリアルユーザーのストーリー(商品軸)と、自らの意思で運命を切り開いていることを後押しするストーリー(パーパス軸)の両方を展開しています。実は、前に一度、#CHANGEDESTINYをテーマにしたキャンペーン動画の最後に製品訴求を入れるか否か、議論したことがあります。熟考の末、やはりここで製品訴求をするのは適切ではないという結論に至りました。キャンペーンの目的を混在させないよう留意し、その都度、ビジネス・ブランドが置かれている状況や情勢を見極めながら、どちらにより軸足を置くか判断をしています。

~インターブランドジャパン代表 並木将仁氏より選定理由に関するコメント~

「CXランキング2022」の調査で、純粋想起でポジティブなブランドとして「SK-Ⅱ」を挙げた人のうち、およそ3分の1が男性だったこと。さらに回答者の約70%が20~30 代であったことなどから、SK-Ⅱを選定しました。ここまで幅広い層にSK-Ⅱというブランドが刺さっているというのは、素晴らしいことです。基礎化粧品というカテゴリーにおいて、SK-Ⅱのブランドらしさ、パーパスがしっかり認識されている結果、ブランド体験そのものに広がりができたのではないでしょうか。

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この記事の著者

マチコマキ(マチコマキ)

広告営業&WEBディレクター出身のビジネスライター。専門は、BtoBプロダクトの導入事例や、広告、デジタルマーケティング。オウンドメディア編集長業務、コンテンツマーケティング支援やUXライティングなど、文章にまつわる仕事に幅広く関わる。ポートフォリオはこちらをご参考ください。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2022/12/22 09:30 https://markezine.jp/article/detail/40699

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