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サンプル製作における課題解決の突破口に ミズノのシューズデザイナーが牽引する3D活用の裏側

ミズノが3D制作を内製した3つの利点

――3Dを外注するという選択肢もあるなかで、内製を選択された理由は何でしょうか。

実は、技術的な不足を補ったり、まだまだバーチャルサンプル作成人員も足りなかったため外注をしていた時期もありました。しかし、実際に外注してみた結果をふまえ、現在はバーチャルサンプルのほとんどを内製しています。

内製するメリットは大きく3つあると考えています。1点目は「よりリアルなシューズのバーチャルサンプルが作成できること」。なぜかというと、シューズデザインには非常に専門的な技術が必要だからです。たとえば、形状に関していえばシューズの形状にはこれという正解がないんです。シューズを製造するときには足型というものを基本として作成しますが、足型の形イコール出来あがったシューズの形とはいきません。材料の厚みや生地の張りなどにより、足型を抜いたあとのシューズの形状は変化します。そのような不安定なシューズの形状においてバーチャルサンプルの形状を設定するのは、あくまでも3Dモデル作成者です。常に靴を見ている社内の人間がモデルを作成するからこそ、かっこよさと現実感のあるバランスを兼ね備えたシューズの形状を生み出すことができるのです。

実際のバーチャルサンプル
実際のバーチャルサンプル

また、バーチャルサンプルは、工場で作る実際のシューズの代わりになるものですから、現物がない状態で作る必要があります。つまり、シューズを作るための設計指示書を頼りに、バーチャルサンプルを作成していくことになります。その指示書を的確に読みこむだけのシューズにまつわる知識、靴の構造や加工方法、材料特性などを理解したうえで、材料の重なりや加工後の材料の潰れ具合といった設計図に表れないディテールをイメージできる力などがなければ、リアルなバーチャルサンプルを制作するのは難しいと感じます。ですので、シューズデザインを経験した社内のシューズデザイナーがバーチャルサンプルを作成するというのが、やはり効率的にもクオリティ的にも最適だと考えるに至りました。

メリットの2点目は、「デザイナーが3D技術を習得し、デザインのワークフローに取り入れられるようになること」。デザイナーの立場からすると、これは非常に大きい利点でした。もともと紙とペンをベースに行っていたデザイン作業は今や多くの部分がAdobe IllustratorやAdobe Photoshopといったデジタルツールによって効率化され、また新たなクリエイティビティを生んでいます。これと同様に、3Dをデザインワークに取り入れることで、デザイン制作のスピード向上やデザイン情報の効率的な伝達など、多くのデザインバリエーションを生み出すことが可能になります。また、アルゴリズムによるデザインなど、これまでにないデザインアプローチによる新しい造形価値を生み出すことにもつながっています。

3点目は、「デザイナー自身がサンプル作成スキルを持つことができること」です。従来のデザイン工程にのっとって現物サンプルを作る場合、工場のサンプルルームやサプライヤー、材料メーカーなど、多くの人が稼働することになります。そのため斬新で新しいデザインを思いついたとしても、リソースを考えると気軽にサンプルを作り、試してみることはできません。「これなら間違いない」というアイディアしか形にすることはできなかったんです。

しかし、デザイナー自らバーチャルでサンプルを作成することが可能になれば、よりアグレッシブなデザインを気軽に提案したり、それをもとにした検証も行いやすくなります。今は市場にはないけれど、もしかしたらニーズがあるかもしれないといったポテンシャルを持ったアイディアも、埋もらせることなく活かせるのです。

この記事の続きは、「CreatorZine」に掲載しています。 こちらよりご覧ください。

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2023/01/31 08:00 https://markezine.jp/article/detail/41174

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