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MarkeZine Day 2023 Spring

日本のメタバース利用者が求めているものとは何か?から考えるコミュニケーション設計

メタバース利用者はどんな人か?

 平沼氏は続いてメタバースを利用している日本人の特性を知るため、メタバースサービス利用層を6つの切り口で分析した結果を紹介する。

 メタバース利用層のデモグラ特性を見ると、平均年齢は33.4歳。最も多いのは20代男性で、30代男性が続く。ライフステージとしては、未婚男性が多く、世帯年収は691万円と他の層よりも高いことがわかった。

 メタバースの他に、どのようなメディアやコンテンツを利用しているかについてはTikTokやSNOW、Snapchatが多く、自身で写真や動画を簡単に加工してアップロードできるようなサービスを好む傾向が見られる。

 コンテンツをどのような意識で使っているか聞くと、「ライブ配信で投げ銭を行ったことがある」(33.7%)「動画や画像を自ら編集してSNSやYouTubeなどの動画サイトにアップしたことがある」(35.1%)といった項目が高くなった。ここから、有名人やクリエイター支援ニーズもあることがうかがえる。

 メタバースサービスでは何を利用しているのか、ゲーム系以外のものを調査したところhololiveやVRChat、ZEPETOといったアバターを作成して利用するようなサービスが上位となった。さらに、今後利用してみたいサービスとしては、バーチャルマーケットやバーチャル渋谷、音楽バーチャルライブサービスが上位となった。

メタバースにおける行動と利用金額

 メタバース利用層のメタバースサービス上での行動内容と利用金額についても調べた。メタバースサービスへの年間の課金額は12万3,782円と、1ヵ月に1万円以上支出していることになる。具体的な利用内容としては、仮想通貨が71,839円と最も高かった。また、ゲームは圧倒的に利用経験率が高く、支出額も11,767円とそれなりに高い結果が出た。

 着目すべきは、買い物体験や音楽ライブへの参加、メタバース内での飲み会の参加といった日常的な行動だ。利用経験としてはゲーム体験ほど高くないものの、支出率がそれなりに高い。

 メタバース内での行動と支出率を4つの軸で分析すると、上述の日常的な行動は「よく行われる行為であり、支出しやすいジャンル」だと考えられる。

 仮想通貨やパフォーマーへの投げ銭などは「あまり行わない活動だが、支出しやすいジャンル」。左下のビジネス商材などは「あまり行わない活動であり、支出もされないジャンル」、右下のボイスチャットなどは「よく行われる活動だが、支出はされないジャンル」と言える。

重視する点は「ゲーム」「友人・知人の参加」「リアルとの連動」

 メタバース利用層がメタバースサービスに対し重視する点としては、ゲーム要素やアバター要素に次いで、「友人・知人・家族もやっている」(14.9%、全体との差分6pt)、「リアルと連動して楽しめる」(15.9%、全体との差分6pt)などが全体との差分スコアが高めである点も見逃せない。

 「仮想空間を一人で楽しむだけでなく、家族や友人、メタバース上でのフレンドなどみんなで楽しめることも重視しているようです」(平沼氏)

 こうしたメタバース利用層がこの先メタバースに期待していることとしては、「自分の生活がもっとよくなる気がする」(54.2%)、「街のことがもっと好きになる」(50.7%)、「より人間らしい生活が送れる」(42.7%)などの項目が高い。そしてメタバースに関する意見としては、「将来的にメタバースは、現実世界の経済を豊かにするものになると思う」(54.5%)、「メタバースが日常生活に定着すると、日常生活が便利になると思う」(54.2%)、「将来的にメタバースを日常利用することになると思う」(51.7%)などが高くなった。ここからも、メタバース空間の中だけでなく、メタバースを通して現実世界の自分の生活や社会がより良くなることに期待している様子が見られる。

 以上、調査結果からメタバース利用層の人物像をまとめると、次のことがわかる。

  • ゲームや漫画、動画コンテンツが好きな20代男性が多い
  • 比較的世帯年収の高い未婚男性がメイン層
  • ゲーム系メタバースの利用に加え、自分で写真や動画を加工してアップするSNSサービスの利用も高い
  • 一人でゲーム体験に浸るのではなく、知人や家族といった現実世界の人々とみんなで楽しむことを重視
  • 個人で楽しめるアバターへの課金や、ライブイベントへの参加やパフォーマーへの投げ銭といった、みんなで盛り上がれるイベントやコンテンツに課金する傾向
  • メタバース空間内だけでなく、メタバースが現実世界を豊かにすると考え行動している

次のページ
メタバース利用者にアプローチするためには?

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この記事の著者

平田 順子(ヒラタ ジュンコ)

フリーランスのライター・編集者。大学生時代より雑誌連載をスタートし、音楽誌やカルチャー誌などで執筆。2000年に書籍『ナゴムの話』(太田出版刊)を上梓。音楽誌『FLOOR net』編集部勤務ののちWeb制作を学び、2005年よりWebデザイン・マーケティング誌『Web Designing』の編集を行...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2023/04/27 08:30 https://markezine.jp/article/detail/41816

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