F1層の注視含有率が全CM平均比の+78%に
小坂:注視含有率の上昇も今回のCM施策の大きな成果として挙げられます。なお、注視含有率は、電源が入っているテレビのうち、テレビ画面が注視されている台数の割合を属性ごとに出したものです。
一般的にCM施策において、テレビの視聴時間が短い20〜34歳女性のF1層と35~49歳男性のM2層を対象に効果を上げるのは難しいとされています。実際、関西エリアにおいて、全CMの注視含有率の全CM平均値がF1層では3.6%、M2層では7.2%でした。
それに対して、今回のmineoさんのCMでは、F1層が6.4%となって全CM平均比が+78%に、M2層が8.1%で全CM平均比が+13%となり、大幅に全CM平均値を上回りました。
これは、放送枠と素材のマッチングを年代ごとの注視データを基に徹底的に行った成果だと考えています。
林:今回の結果から、注視データを活用することで、Web広告よりもテレビCMのほうが高い精度でターゲティングが行える可能性を感じました。なぜならWeb広告だとターゲティングにアカウントの登録情報を使うため、家族間でデバイスを共有している場合はログインした人向けのターゲティングとなり、登録者の属性と実際の接触者の属性がまったく異なることも多々あります。一方、REVISIOさんの注視データは人体認識技術を使って独自のパネルから実際の視聴者属性と注視の有無を判断して収集しているデータなので、精度高く割り当てできていると思います。
客観的な指標でコスパの良いバイイングが可能
MZ:定性的な成果についてもお聞かせください。
林:注視データを軸にしたCM枠のプランニングにより、広告主である当社にとっても放送局にとってもWin-Winなバイイングが行えたと感じます。
通常、CMの放送パターンでは、平日の19〜23時および土日の全時間帯に放映する「逆L字型」や、逆L字に朝6時〜9時の時間帯を加えた「コの字型」が人気です。しかし、今回は注視データを基に当社に最適な番組を選択したため、「逆L字の中の番組よりも、平日日中のこの番組に3本入れてください」など、通常であれば選ばれないような時間帯の枠を、注視データという客観的な指標を根拠として取りに行くことができました。
人気ではない枠は、他の枠と比べると局交渉も容易です。注視データのおかげで、mineoにとって最適な枠を買い付け、最適なクリエイティブ素材を割り当てることで、コストパフォーマンス良くCM放映できたのは大きな効果だと感じています
MZ:今回の成果を受けて今後どのような取り組みを進めていくのか、構想をお聞かせください。
林:クリエイティブの1秒ごとの注視分析と、枠の注視データをバイイングに活用する取り組みは今後も継続していきたいと思います。
また、新たなチャレンジとしてCTV広告への活用を考えています。従来の認知プロモーション設計では、地上波CMの指標はGRP、CTV広告の指標はインプレッションとされてきました。しかし、REVISIOのデータを活用することで、CTV広告も地上波CMもアテンションユニークリーチ(※)という共通指標で成果を測れるようになるのではと考えています。この仮説の下、今後はCMとCTVを融合し、最適な予算配分を検討する取り組みを進めたいと考えています。
小坂:当社では、これまで注視にフォーカスしてサポートを提供してきました。今後も引き続き注力しますが、一方でこれからは見られた「後」の部分、つまり、検索行動やWebサイト訪問などの行動に視聴がどうつながるかを分析したいと考えています。広告主が重要視する興味率の向上に、CMがどれだけ貢献したのかを明らかにしていきたいです。林さんからリクエストいただいている地上波とCTVを横断した注視分析につきましては、弊社が今まさに力を入れているフィールドになりますので、全力でサポートさせていただきます。
※アテンションユニークリーチ(A-UR):該当企業のCM放送時に少なくとも1回以上接触した(=テレビ画面を向いていた)人の割合
今回の事例で実際に活用されたツールをチェック
オプテージ様が活用したテレビCM効果検証・改善ツール「Telescope」では、注視データを基に、地上波テレビとCTVキャンペーンの横断での分析も可能です。詳しくはサービスサイトで詳細をご紹介していますので、本記事とあわせてご覧ください。