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Web心理マーケティング入門

孤独な現代人は集団からの影響を受けやすい

 「全米が泣いた」「興行収入第一位」などの宣伝文句をきっかけに商品を購買した経験は誰しもが持っているだろう。商品購買前にネット上でのクチコミを参照することが当たり前となった現代において、その影響力はますます高まっていくのではないだろうか。【バックナンバー】

「全米が泣いた!」他者の影響で買いたい商品が変わる―バンドワゴン効果

 我々が多くの「モノ」に影響を受け日々の生活を営んでいることは、これまでの記事でも説明させていただいた(バックナンバー)。それでは、「他者」からの影響について、我々はどのような影響を受けるのだろうか? 噛み砕いて言えば我々は多くの人が支持をしている商品、もしくは購入している商品についてどのような行動を選択するのだろうか? 

 アメリカの論理経済学者ハーヴェイ・ライベンシュタイン(Harvey Leibenstein 1922~1993)は、その論文『Bandwagon, Snob and Veblen Effects in the Theory of Consumers' Demand』において、次のような非常に興味深い点を指摘している。

ある選択が多数に受け入れられている、または、流行しているという情報が流れることで、その選択への支持が一層強くなるというのだ。この効果を『バンドワゴン効果』と呼び、世にある数多くの流行した商品は、このバンドワゴン効果が作用していると言える」

 例えば、スーパーに行きある商品群の前に立ったとする。その際、「今話題の大人気商品」という説明があれば、「その商品を買ってみようかな」という衝動に駆られる。多くの人が「良い」というものは、「良いもの」に違いないだろうという思い込みが働くのだ。そして、この効果を用いた戦略を我々は多く目にしている。

バンドワゴン効果

 「全米が泣いた!」や「興行収入第一位」など映画の宣伝文句は普段から目にしているし、「今話題の」「クチコミで」など数え上げればきりがない。そして、そこには「クチコミで評判がよくて安心」、「人気があるみたいだからこれを買っておけば間違いない」などといった、自分以外の経済主体の意思決定から大いに影響を受けていると推測できる。

レアもの大好き スノッブ効果

 もっとも「多くの人々が所有しているから自分はそれとは別のモノが欲しい」という欲求が表れることも否定できない。これは「スノッブ効果」と呼ばれている。ある対象の需要が世間で高まれば高まるほど、個々人においてその需要が縮小していく効果である。

スノッブ効果

 同じような商品が世の中に氾濫すると自身と他者を差別したい欲求から希少性を求める重要が高まることがあるが、限定商品が売れる話はまさにこれに当たる。

高いモノは素敵なモノ ヴェブレン効果

 また、ライベンシュタインが前述の論文で触れた効果として、ヴェブレン効果と呼ばれるものがある。ヴェブレン効果とは、社会学者・経済学者であるソースティン・ヴェブレン(Thorstein Veblen、1857~1929)が自身の著書『有閑階級の理論』において、「見せびらかし」という行為について言及したことに由来する。

ウェブレン効果

 これは製品の価格が高まれば高まるほど、顕示的消費が増加する現象を示す。そんなことがあるのかと考える方もいるかもしれないが、高額なブランド品が売れる様などは、まさに、このヴェブレン効果が作用していると言える。

 前述した3つの効果

  • バンドワゴン効果…人気が高まるとさらに需要が増す
  • スノッブ効果…差別化
  • ヴェブレン効果…みせびらかし、高価

 を活用する為には、これらの効果を加味したWeb戦術を検討する必要がある。

 ただ商品を陳列しユーザーに見せるのではなく、「人気商品である」「限定商品である」といったことを伝える、ちょっとした工夫が販売の拡大につながることを忘れてはならない。

 さて、一見、相反するようなバンドワゴン効果・スノッブ効果・ヴェブレン効果というそれぞれの効果だが、実は全てを組み合わせることも可能である。実際に、「流行していて、希少性(限定品など)があり、高価なもの」というのは、食品からハイブランド商品までさまざまな展開が行われている。

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この記事の著者

原田 学史(ハラダ タカフミ)

株式会社クリエイティブホープ 取締役CMO Webコンサルタント 中央大学卒業 1976年生まれ 神奈川県出身 大学在学中に起業し、1996年より海外からアパレル・雑貨を中心とした商材を仕入れ、国内でネット通販事業を開始。大学卒業後、現GMOインターネットに入社。現在に至るまで一貫してWeb業界に籍を置...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2009/06/26 11:00 https://markezine.jp/article/detail/7568

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