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総力特集:10年後も勝ち抜くEC・ネット通販最新戦略

“ポテンシャルは極めて高いが成功は非常に難しい”
お国柄が影響する中国ECの特殊な事情


 前編では、中国EC市場の全体像を考察した。驚異的な成長を見せる中国市場に興味関心のある日本企業が知りたい点は「中国進出すれば儲かるのか」という点だ。一方、中国ビジネスを成功させるためには、そのお国柄を考慮しなければならないとよく聞くが、EC市場においてはどうか。中国ECビジネスの実態に迫った。【総力特集!10年後も勝ち抜く EC・ネット通販最新戦略】

プロモーションは手探り状態

 ECビジネスを開始するにあたって、まず考えなければならないのは「どうやって人を呼ぶのか」だ。日本・中国関係なく成功のための重要なポイントだが、どうやらここでも中国流のやり方があるようだ。中国で事業展開するにあたって、バイジェイドットコムはどのようなプロモーションを展開したのだろうか。

 バイジェイドットコムの運営元であるSBIベリトランスの事業開発部シニアマネージャーである矢井知章氏(写真右)は「中国のインターネット広告市場は毎年50%以上で成長しています。そのため、日本と同様のプロモーション手段は出揃っている状況です。日本の場合では、SEO・リスティング・アフィリエイトなどが常套手段になるかと思いますが、中国の場合はまだ正解というものがなく手探り状態です。あえて言えば、バイジェイドットコムの場合は、アフィリエイトの比率が高いです」と語る。

右肩上がりの中国インターネット広告市場(出典:SBIリサーチ/powered by iResearch)
中国のインターネット広告市場推移(出典:iResearch)

 ちなみに、中国における検索サービスのシェアは百度(バイドゥ)が2009年末で56%を占めており、シェアナンバーワンとなっているようだ(出典:中国オンライン検索市場でGoogleのシェアが拡大、「百度」との差を縮小,IT Pro)。

ニュースサイトへの掲載/クチコミが効果絶大

 このように手探り状態の中だが、現時点まででもっとも効果的だったプロモーションはプレスリリースの配信だという。

 プレスリリースを配信すると、ニュースサイトが記事として取りあげてくれるケースが高い。そのニュースサイトが発信したニュースを提携サイトが次々と転載し、情報が伝搬されるため、ユーザーの目にとまる確率が高くなるのだという。「中国人の場合、メディアが発信する情報は信頼性の高い情報という意識が日本よりも高いと思います」と見解を示した。

 バイジェイドットコムの例で言うと、プレスリリースの配信と同時にCCTV(中国中央電視台:)という日本で言うNHKのような存在のテレビ局にニュースとして取り上げられた時の反響は「過去経験したことがないほど大きな反響だった」という。また、より売上に結びつける施策としてはBBS、ブログのコメントなどによるクチコミの影響力が高いようだ。

クチコミが圧倒的(出典:SBIリサーチ/powered by iResearch)

 「タオバオもユーザーインターフェイスやサービス設計などを改善し、よりユーザーのためになる情報を提供するように施策を打ちはじめています。また、チャットが非常に浸透しているため、クチコミの伝播力が日本に比べて格段に早い印象を持っています」とした。

 なお、日本では楽天スーパーポイントやTポイントのようなポイントサービスを購入のフック(とっかかり)とすることが増えているが、「中国でもポイントサービス(サイト)は普及しつつあるが、ポイントだけの囲い込みはまだ難しい」とのこと。ポイントよりも、現物で商品が貰える「プレゼントキャンペーン」や2個購入したら同一商品を更に1個無料で付ける…といったキャンペーンが主流のようだ。

メール到達の把握が難しい環境

 一方、売上に結びつける施策として、日本の場合はメールマガジンの最適化が注目されているが、同社の場合、メールマガジンの活用はどうしているのだろうか。

 「バイジェイドットコムでもメールマガジンの最適化を図るために施行錯誤をしていますが、中国の特殊なインターネット事情により、メールがきちんとユーザーに到達されているのかを把握するのが難しい状況です。極端な例では、メールマガジンを配信した2~3日後に一斉にアクセスが増える(つまり、2~3日後に開封されたということ)といったこともあり、何かしらの事情によりメールサーバーに滞っている可能性もあると考えています」とした。

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この記事の著者

池永 尚史(イケナガ ヒサシ)

 1979年生まれ。CGMブログ・メディアを展開するベンチャー企業、インターネットサービス系企業を経て独立。2010年3月より株式会社ノイズ代表取締役。 ■ 著書・ 稼ぐアフィリエイターはブログが違う!(技術評論社刊)・  ドロップシッピングスタートブック(技術評論社刊)■ 連...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2010/05/17 12:32 https://markezine.jp/article/detail/9675

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