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江端浩人氏に学ぶ、マーケティングとテクノロジー改革の最前線

【緊急寄稿】那須サファリパークの事件は日本のDXリスキリングで回避できた


 明けましておめでとうございます。この寅年の年明け早々に残念ながら虎に関する不幸で悲惨な事件のニュースが飛び込んできました。江端はこの痛ましい事件は那須サファリパークの簡単なDX(デジタルトランスフォーメーション)化によって避けられたのではないかと考えておりペンを取ることを決意しました。日本のデジタル化、デジタルリスキリングの重要性に関しての教訓と今後このような事件が起こらないことを切に願っております。

本コラムは事件に関して取り上げております、被害者の皆様とご家族や関係者の皆様にはご傷心はいかばかりかと心中お察し申し上げますとともに、被害に遭われた方の一日も早いご回復と復旧を心よりお祈り申し上げます。

ヒューマンエラーは必ず起きる

 2022年1月、痛ましい事件が起きました。事件のあらましは以下のように報道されております。

 5日午前8時半ごろ、那須町高久乙の「那須サファリパーク」のベンガルトラ舎で、いずれも那須塩原市在住の20代の飼育員3人が雄のトラ1頭に襲われ、ドクターヘリなどで救急搬送された。3人のうち女性2人が頭や手首など複数箇所をかまれ重傷を負い、男性が後頭部を負傷した。命に別条はないという。

 那須塩原署とサファリパークによると、トラの飼育担当だった女性(26)が開園前、屋外展示場の安全を確認するため展示場と獣舎をつなぐ「アニマル通路」に入った際、本来なら獣舎にいるはずのトラと鉢合わせして襲われた。女性の悲鳴を聞き、駆けつけた別の女性(22)と男性(24)も相次いで襲われた。

 26歳の女性と男性は自力で別室に逃げたが、22歳の女性は逃げ出すことができなかった。その後、獣医師が麻酔銃を撃ち、トラはおとなしくなったという。

 トラは11歳のベンガルトラの雄「ボルタ」で体長約2メートル、体重150~160キロ。金色の毛並みを特徴とする「ゴールデンタビータイガー」と呼ばれ、世界で30頭ほどしか飼育されていないという。

 26歳の女性は約3年前からトラの飼育を担当し、22歳女性は主に小動物、24歳の男性は大型動物を担当していた。サファリパークは事故を受け、5日を臨時休園とし、6日以降もしばらく休園すると発表した。

 サファリパークでは1997年と2000年に、飼育員がライオンに襲われる事故があった。

出典:下野新聞

 記事を執筆中の1月8日現在では那須サファリパークは再開の見込みが立っておらず、家宅捜索が入り、事件を起こした虎の殺処分も検討されているという。

 虎が何故いるはずのない「アニマル通路」にいたのか? こちらもいずれ明らかになるかもしれないが、ヒューマンエラーの可能性が高いと考える。記事から見ると1997年と2000年にも飼育員がライオンに襲われる事故があったとされるので、20年以上事故は起きていないわけだが、それでも100%起きないという保証はないのである。どんなにマニュアルを作ってもそれを徹底するように訓練しても「ヒューマンエラー」は必ず起こる。ではどうすればこの悲惨な事件を防ぐことができ、再発しないようにできるのであろうか? そのことをDXの観点より考えてみたい。ポイントはDX化による「可視化」のメリットを活用し享受することであると考える。

どうすれば悲劇は防げたか?

 現在の報道から見る限り、いくつかの問題点が浮上している。一番の問題は虎が本来いるはずの檻の中に格納されていなかったことであるが、事故を防ぐという観点では他の解決法も考えられるだろう。

 デジタル化のメリットの1つとして「可視化」が挙げられる。今まで見えなかったもの、わからなかったことをデジタル技術によって判るようにすることが可視化といえよう。たとえば現在報道されているコロナにおける主要駅や行楽地の人出などは、携帯電話会社がその場所の電波を測定することによって「可視化」できるようになっている。また、最近よくニュースなどで見る防犯カメラの画像なども「可視化」の一例だろう。また私も愛用しているが、昨年発売された電子ダク、アップルタグは自分の持ち物に取りつけることによりその位置を「可視化」することができるのである。従って今回の場合にはいくつかのソリューションが考えられる。

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この記事の著者

江端 浩人(エバタ ヒロト)

iU大学教授、江端浩人事務所 代表、MAIDX LLC代表、AlMONDO事業顧問

米ニューヨーク・マンハッタン生まれ。米スタンフォード大学経営大学院修了、経営学修士(MBA)取得。伊藤忠商事の宇宙・情報部門、ITベンチャーの創業を経て、日本コカ・コーラでマーケティングバイスプレジデント、日本マイクロソフト業務...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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2022/01/17 13:01 https://markezine.jp/article/detail/38128

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