狙うべき顧客層と価値を知る「7Journey分析」
セッション中盤で田中氏は、イプサが顧客の購買行動を理解するために採用している「7Journey分析」について解説した。顧客がブランドを知っているか、過去に購入したことがあるか、最近購入したかなどの質問から、顧客の状態を明らかに。
さらに、購入意向の有無も含めた7つのセグメントによって、自社商品のターゲットを包括的に分析。結果をもとに、売上最大化の考察を行えるのがメリットだ。
過去に購入したが現在は購入していない顧客や、ブランド名は知っているが購入したことがないというセグメントがボリュームゾーンとなる。このセグメントの顧客を、どのようにロイヤルカスタマーに変えていくかが企業にとっての課題である。顧客の特性を理解しその心を動かす戦略を考えることが、売上最大化につながるのだ。
「企業の最終目的は売上最大化です。この右上のロイヤルの方が最大化すれば良いのですが、実際にそうはいきません。大体はこの手前の、離反予備軍や巻き戻しと言われる部分にボリュームゾーンが存在しています。この先、どうやって右上の方に回していくのかを考えていくのが重要になります」(田中氏)
顧客セグメントとペルソナをどのように捉え、戦略に落とし込むか
続いて、顧客セグメントとペルソナについて解説。ターゲット・セグメントの絞り込みとその顧客の獲得方法について考える際、デモグラフィックデータなどを使用すると、ペルソナと近くなることが多い。
しかし、ターゲット・セグメントとペルソナ像が乖離している場合、本来狙いたい層と異なるため、どのように扱えばいいのか議論が起こる。
倉本氏は、ブランディングのために設定するペルソナと、マーケティングのために分析するセグメントが異なることを説明した。ブランディングのペルソナは、ブランドストーリーや世界観を体験するために設定される象徴的かつ仮説的な顧客像である。
一方、マーケティングでの顧客像は、実際に商品を購入してもらうためのものだ。ペルソナは顧客像を擬人化し、人物像の設定と詳細をより具体化することで、顧客の考え方や価値観を深く理解するためのツールである。これに対し、ターゲット・セグメントは顧客の行動や状況を明らかにするためのもと言える。
ペルソナとターゲット・セグメントを比較すると、ペルソナの情報が詳細だ。ペルソナ設定は、サービスやブランド価値、世界観を構築する上で重要になってくる。顧客の価値観や心の内を理解し、潜在ニーズやインサイトを深く掘り下げることで、マーケターは顧客に対してより効果的なアプローチが可能だ。