財団法人 日本産業デザイン振興会が運営する「グッドデザイン賞」の2007年の受賞結果が、10月1日に発表された。商品デザイン、建築・環境デザイン、コミュニケーションデザイン、新領域デザインの4つの部門で合計1,043件、594社が受賞している。
4つの部門のうちコミュニケーションデザイン部門では、ウェブ上のさまざまなサービスが受賞している。特に高い評価を受けたのは、「ベスト15」にも選出された、米リンデン・ラボの3D仮想空間「セカンドライフ」。現実の通貨と交換できる仮想通貨(リンデンドル)や、ユーザーが制作した3Dオブジェクトの著作権がユーザーに与えられる点など、先進性、コンテンツとしての完成度を含めて総合的に評価された。
そのほか、コミュニケーションデザイン部門でグッドデザイン賞を受賞したのは、中央大学とシックス・アパートが共同開発した「新聞ブログ」で、ブログ関連商品としては初めての受賞。通常のブログと同様にウェブサイトとして閲覧するだけでなく、新聞として印刷して学校の掲示板に貼ることも可能で、小学校のメディアリテラシーの授業に取り入れた実験プロジェクトを展開している。
カタログ通販事業を展開するフェリシモが運営する「デザイン21 ソーシャルデザインネットワーク」は、“デザインの力でしあわせな未来をつくる”をテーマにしたコミュニティサイト。デザイナーが社会貢献活動に参加する機能、基金付き商品アルモンドリングの開発などの実験的なデザインが評価された。
現在人気のサービスもいくつか受賞を果たしている。音声案内やユニバーサルデザインを意識したデザインの統一性が評価された、ナビタイムジャパンの総合ナビゲーションサービス「NAVITIME」、日本テレビ放送網の土屋敏男エグゼクティブディレクターがネットを巻き込んで次々と新しい試みを展開している「第2日本テレビ」のVOD(ビデオ・オン・デマンド)サイト、動画再生と同期して、別々の時間に利用しているユーザー同士の会話を成立させる「非同期コミュニケーション」をライブ感のあるインターフェースによって実現した「ニコニコ動画」、セカンドライフ同様、3D仮想空間サービスとして話題を集めた「スプリューム」などがグッドデザイン賞を受賞している。
今回発表された受賞作品の中で、総合的に高い評価を得たベスト15の中から、任天堂「Wii」や新幹線N700系車両などを含む6件は、グッドデザイン大賞候補として10月25日に公開プレゼンテーションを行い、うち1件がグッドデザイン大賞に決定する。