「準児童ポルノ」とは、アニメ・漫画・ゲームソフトなどで、性目的で子どもの性的虐待を描いたもの。日本ユニセフ協会は、世界的な児童ポルノ根絶の動きに合わせて、3月11日に「なくそう!子どもポルノ」キャンペーンを開始した。児童ポルノの単純所持の違法化することやアニメや漫画ゲームの表現も「準児童ポルノ」として違法化することを目標として掲げ、署名運動を展開。このキャンペーンには、ヤフー、マイクロソフト、社団法人セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン、財団法人日本フォスタープラン協会など、多くの企業・団体が賛同している。
MIAUは、子どもを性的虐待から守り、性的商業的搾取被害を防止するという目的は肯定するものの、準児童ポルノ規制の目的と根拠が曖昧であること、表現の自由を損なわないような判断基準が明示されていないままキャンペーンが進んでいることから、インターネットユーザーとしての立場から賛成・反対が難しい状況であるとして、公開質問を日本ユニセフ協会に送付、3月28日までに返送を求めている。
公開質問状は、「準児童ポルノ」と「児童ポルノ」を規制する目的および根拠が同一であるか、同一である場合は両社に共通する目的と根拠を明確にすること、などを含む9つの質問で構成。準児童ポルノを一律に違法とすることは、過度に広範な規制にあたり、表現の自由に抵触するおそれがあるとして、その判断基準の明示を求めている。
日本ユニセフ協会は、MIAUが公開質問状を送付する前日の3月17日に「ユニセフは日本のマンガ・アニメ文化を否定するのか?」といったご質問が寄せられたことについて「被害者のいない子どもポルノ?」と題してコメントを発表。同協会は、マンガ、アニメ、コンピューターゲームそのものを否定するものではなく、『子どもポルノ問題に関する緊急要望書』の中に明示したとおり、「欧米各国では法律等で禁じられている子どもへの性的虐待を描いた」ものであり、「子どもに対する性的虐待を性目的で描写した」ものに限定されるとしている。また、性目的で描写した子どもポルノであっても、他人への提供を目的としない場合の禁止までも求めるものではないとしている。
日本ユニセフ協会のコメントは、「被害者のいない子どもポルノ?」と題しており、MIAUの公開質問状にも含まれる「アニメ・漫画・ゲームソフトでの表現である「準児童ポルノ」では、現実に児童の被害は発生していないという指摘に関連する内容となっている。同協会は、先進各国では性目的で子どもの性的虐待を描いたアニメ・漫画・ゲームソフトなども、「子どもの性的虐待」を社会的に容認することにつながるなどの理由から、その販売・提供・流布を、既に法律的に禁止または禁止する方向で法律の整備が進められていること、インターネットの利用拡大によって、容易に児童ポルノの入手が可能である現状を踏まえて、キャンペーンの正当性を訴えている。
MIAUが設定している回答期限は3月28日。日本ユニセフ協会からどのような回答があるか注目される。
【関連リンク】
・「子どもポルノ問題に関する緊急要望書」(PDF)
・「被害者のいないポルノ?」
・MIAU「「準児童ポルノ」に関する公開質問」
・「ダビング10」でホントにいいの? MIAUがシンポジウムを開催
・いま動かなければ事態は悪化する ― ネットユーザーの声を代弁する「MIAU(インターネット先進ユーザーの会)」設立