小学生からお年寄りまで、あらゆる人たちが日々接しているWebのデザインは、いま大きな曲がり角に来ていると思います。今回は、ユニバーサルデザインの考え方をWebに取り入れて、日々、新しいWebの形を摸索している濱川 智氏との対談をお届けします。後編はこちら。
遊談相手
濱川 智(
株式会社カレン企画本部 チーフプロデューサー)
Webサイトやパンフレットなど、企業からの情報発信をユニバーサルデザイン(UD)へ改善する「
カレン・ユニバーサルデザインWebサービスの商品企画・コンサルティングを担当。
障害者クリエイター・NPOなど数多くのパートナーとの協業により、実際の障害者や高齢者の視点・立場を取り入れ、情報へアクセスする際の「バリアの発見」と「改善」を繰り返す「スパイラル・アッププロセス」によるデザイン設計・改善による「情報のユニバーサルデザイン」を手がける。さらに「情報のユニバーサルデザイン」普及を目的としたセミナー講師・講演・執筆活動にも積極的に取り組んでいる。
サービス業界からWebの世界へ
四家
今回はちょっと変則的なのですが、僕が勤務している株式会社カレンの濱川智と対談します。肩書きは僕の部下ということになっていますが、彼の面白さをうまく紹介できればいいなと思います。しゃべりにくいので、ここからは「さんづけ」でいきます。
濱川
濱川です。よろしくお願いします。
四家
濱川さんは、12月に翔泳社から『WebビジネスのためのユニバーサルデザインWeb成功の法則65』という本を出すことになっています。そこで、本のテーマである「ユニバーサルデザインWeb」について聞いていきたいと思います。
濱川さんといえば、「ユニバーサルデザインWeb」のエキスパートとして、社内外で活躍しているわけなんですが、インターネットにはじめて接したのはいつごろでしょうか。
濱川
8年くらい前ですかね? 最初は、インターネットというものがあるからとりあえず触ってみようという感じでした。
四家
意外とあっさりしてますね(笑)。
濱川
そんな感じです。正直インターネットというコンテクストで話をするとけっこうつまんない感じの人間なんですよ(笑)。当時は「ネットってすごそうだ。これを仕事にしたら先が明るいかもしれない」というような考えしかなかったですね。そして、デザイン会社に入社して、ディレクターとしてWebサイト制作を担当してました。
四家
それがむしろ面白いんじゃないかな。ふと思ったんだけど、濱川さんってオタクっぽくないですよね。
濱川
真逆かもしれません。しかも、デザイン会社に入る前は、ものづくりとは何の関係もないサービス業を長くやってました。
四家
Web制作についての知識はすごいし、最新動向にも詳しいけど、知識のための知識は興味ない、という印象を受けるのはサービス業育ちというのもあるんでしょうか。
濱川
サービス業育ちっていうところは、かなり大きな影響があると思います。お客とコミュニケーションをとることがサービス業の前提じゃないですか。そこには自然とこだわっているかもしれません。