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時事イベントに見るスポーツマーケティング入門

オリンピック選手に自社製品を着せる方法 アディダス×プーマのスポーツマーケティング戦争


 前回「魔法の水着 レーザーレーサー」の問題が、選手に自社製品を着せる「オフィシャル・サプライヤー契約」に起因していると述べた。今回は、そのオフィシャル・サプライヤーの発想を生み出したともいえる、アディダス×プーマのスポーツマーケティング戦争について書いていこう。【バックナンバーは こちらから!】

歴史的な試合の影になぜかいつも大手メーカーあり

 70年代は、先進諸国において大衆消費社会化が急速に進行した時代である。人々の欲望に追い立てられるようにメディアが発達し、メディアは人々の欲望をさらに刺激し解放していった。メディアは大衆の支持を得るために、大衆の好むソフトとしてのスポーツにスポットをあてていく。そしてメディアの発達に伴いスポーツ大会も大型化し、スポーツはメディアと不可分な関係を急速に構築する。

 スポーツ大会が現在のように巨大になったのは、70年代を起点にして考えると理解がしやすい。70年代の世界的なテレビメディアの普及と、生産力向上によるマス消費社会の出現とが、現在のようなスポーツの世界化と巨大化の背景にある。さらにそういった条件を卓越したアイデアと行動力で実際にビジネス化していった男たちの存在がある。

 70年代にメディアとスポーツが世界化するに従い、飛躍的な拡大を見せたのが用品市場であった。スポーツ用品会社は各競技団体を積極的に支援し、自らの事業の拡大を図っていった。もっとも成功した例がアディダス社であった。そのアディダス社の初代オーナーのアドルフ・ダスラーは競技別に違った靴を考案した人物だといわれている。

 1954年のWカップ・スイス大会で、当時無敵を誇り「マジック・マジャール」と呼ばれていた絶対の優勝候補ハンガリーに、西ドイツは決勝で見事な逆転勝利を収め、初優勝を果たす。「ベルンの奇跡」といわれたこの勝利は、敗戦国でしかも国を東西2つに分断されたドイツ国民を勇気づけ、奇跡の復興と呼ばれる西ドイツのその後の飛躍のきっかけにもなったのだった。

 実はこのときの西ドイツ代表は、リーグ戦ではハンガリーに負けている。決勝で雪辱を果たすことができたのは、当日の悪天候によるところが大きかった。雨天でグラウンドは泥濘状態になったのだが、ハーフタイム時に西ドイツはスパイクのスタッドを長いものに付け替えた。おかげで泥のグランドでも踏ん張ることができたのだ。そしてこのスタッド取り替え式のスパイクは、アドルフ(=アディ)・ダスラーの考案によるものだった。ほかでもない、アディダスの創始者である。

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パン焼き職人兄弟が始めたアディダスとプーマ

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この記事の著者

広瀬 一郎(ヒロセ イチロウ)

1980年株式会社電通に入社。ワールドカップをはじめ、サッカーを中心とした団体スポーツのイベントを多数プロデュースする。1994年に「2002年ワールドカップ招致委員会」事務局に出向、1999年にはJリーグ経営諮問委員会委員就任、2期4年を務めた。豊富な経験に、スポーツにビジネス・メソッドの活用を訴える先駆的視点を持ち合わせた、スポーツマーケティング分野の論客。著書は『スポーツ・マネジメント入門』『「Jリーグ」のマネジメント』(ともに東洋経済新聞社)など多数。2008年、多摩大学・大学院教授に就任。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2008/05/27 16:29 https://markezine.jp/article/detail/3762

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