手軽に利用できるカーボンオフセットサービス付き商品
環境問題、なかでも最も関心が高い地球温暖化に対して、国や企業だけでなく、CO2排出削減への取り組みを行う個人も増えてきた。そんな中、商品を購入したりサービスを利用するだけでカーボンオフセット活動に手軽に参加できる、一般消費者向けの商品が増えている。昨年から今年にかけて続々と登場している、それらの商品の一部を紹介しよう。
環境問題で問題視されることの多い自動車業界。日産自動車は「マーチ コレット」1台につき、1トン分のCO2排出権を取得し、日本政府に届け出ることによって、車の購入者がCO2削減活動に参加したことになるサービスを提供。オフセットされる1トン分のCO2は、同車で約8,000キロ走行した際の排出量に相当する。
旅行代理店のJTB関東とJTBサン&サンは、旅行中に排出するCO2を自然エネルギーを購入することで相殺する「CO2ゼロ旅行」を個人向けバスツアーとして販売。旅行代金の一部を、カーボンオフセットに使用するだけでなく、東京都環境性能AA評価バスを採用して環境にやさしい旅行を実現している。また、JTB関東では、環境に配慮した駐車場「カーボンオフセットパーキング」というサービスでも、駐車料金の一部を使ってCO2をオフセットしている。
多くの人が日常的に利用するコンビニ業界では、ローソンが会員カードのポイントを50ポイント単位でCO2排出削減量10キログラムと交換することができるサービスをスタート。ローソンは、アルゼンチン・パタゴニア地方の風力発電事業で創出されたクレジットを購入し、日本の償却口座に移転する。
これからお中元シーズンを迎える百貨店では、これまでにもエコをテーマにした中元商品を展開してきたが、京急百貨店では今年、カーボンオフセット型の「"楽"ecoお中元ギフト」を販売。ギフトが店頭で販売され、送付先に届くまでに発生する約1キログラムのCO2を、百貨店が植林により取得するCO2削減価値により相殺する。
金融業界でもカーボンオフセット
こうしたカーボンオフセット付きの商品は、金融業界にまで広がりを見せている。スルガ銀行では、「カーボンオフセット付き住宅ローン」で、このローンを利用して環境に配慮した住宅の購入・建築・リフォームを行った顧客に対して、同社が1世帯につき毎年2トンの排出権を国に移転するサービスを行っている。
ソニー銀行は、金融サービスを通じた環境保全活動の一環として「あなたのCO2、投信でオフセット」という仕組みを提供。毎年の基準日に対象ファンドを一定額以上保有している顧客に代わって、対象ファンドの販売手数料や信託報酬の一部から排出権を購入して日本政府に寄付している。
こうしたカーボンオフセット付きの商品のほか、金融の世界ではもちろん、排出権自体を取引対象にした商品の開発や取引が活発化している。今年1月にはキャピタル・パートナーズ証券が排出権先物価格連動債券を日本で初めて販売、2月にはリーマン・ブラザーズ証券が認証排出削減量(CER)の現物取引に必要な口座を開設して日本市場に進出している。また、三菱商事と三菱UFJ信託銀行が排出権信託商品を共同で組成、販売している。
こうした国内での動きを受けて、東京証券取引所は4月に、排出量取引市場を創設するため「京都クレジット等取引所研究会」の設置を検討していることを明らかにしている。
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