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BtoB企業がFacebook・Twitter以上に注力する
ビジネス特化型SNS「LinkedIn(リンクトイン)」とは?

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2010/07/21 11:00

 ヤフーの「CU」、リクルートの「人脈BANK」など、日本でもさまざまな企業がチャレンジしては跳ね返されてきた“ビジネス特化型SNS”の壁。アメリカではBtoBのリード獲得という点でFacebookやTwitter、企業ブログ以上に高く評価されている「LinkedIn(リンクトイン)」というSNSがある。注目サービスの概要・ビジネスモデルなどを紹介していく、この連載。今回は、このLinkedInを取りあげてみよう。(バックナンバーはこちら)

ビジネスに使える個人情報が集まる特化型SNS「LinkedIn(リンクトイン)」

 SNSが注目され始めたころ、「六次の隔たり(Six Degrees of Separation)」という概念が取り上げられていた記憶がある。「六次の隔たり」とは、「知り合いの知り合いの知り合いの……」と、間に6人の知り合いを挟めば、世界中の人が「知り合いの(中略)の知り合い」になるという理論のこと。SNSを使えば、人脈が果てしなく広がり、新しい地平が拓けるのではないか。そんな期待が込められ、SNSの可能性を語る文脈で使われていた概念だ。

 モバゲータウンやGREEなど、日本のSNSはゲームプラットフォームとしての性格を強くしている印象を受けるが、人脈を広げるプラットフォームとして当初期待されていた方向で進化を続けたSNSもある。それが、今回紹介するビジネス特化型のSNS「LinkedIn(リンクトイン)」だ。

LinkedInのユーザーページ
LinkedInのユーザーページ

 LinkedInはアメリカで2003年5月から始まったSNS。現在は英語版のほか、ドイツ語、スペイン語、フランス語、イタリア語、ポルトガル語でサービス提供されている。日本でも2007年にデジタルガレージがLinkedInの日本展開を支援すると発表されたが、現時点では日本語には対応していない。

 世界200カ国以上で7000万人を超える会員がいるというが(2010年6月時点)、数ではFacabookのようなマス狙いのSNSには劣る。重要なのはその会員の質。LinkedInの登録会員にはすべて実名での登録が促され、企業名・部署名などの所属、学歴などの詳細な情報までが登録されている。ビジネスパーソンとしての個人情報が集まっていることで、LinkedInはビジネス目的のSNSとして独自の存在感を放つようになっているのだ。

Alexaのリーチ比較グラフ
全体のリーチとしてはFacebookに劣るが、BtoBでは圧倒的な存在感を誇る
Alexaのリーチ比較グラフ、全体のリーチとしてはFacebookに劣るが、BtoBでは圧倒的な存在感を誇る

ビジネスチャンスの開拓・拡大、求人・求職の場としての機能を提供

 「ビジネス特化」と紹介してきたが、LinkedInはどのような用途で使われているのか、具体的に紹介していこう。

 日本でのSNSは、前述のようなソーシャルゲームのプラットフォームとして、あるいはmixiのような友人・知人間の日記を介したコミュニケーションの場として使われるのが主な用途と言えそうだが、LinkedInはかなり毛色が違う。mixiが「日記を書く/見る」「コミュニティで活動する」といった用途で広がっていったのに対して、LinkedInは「自分のビジネスにとって有益な人を探す。検索してHITした人の職務経歴書を見て、条件に合う人だったら連絡を取ってみる」という用途で広がっていったサービスなのだ。

 LinkedInの用途を大雑把に分類すると、(1)ビジネスチャンスの開拓・拡大(2)求人・求職の場、という2つの方向性が挙げられる。

 (1)の目的については、例えばあなたがリスティング広告の営業担当だったとする。正面から「我が社でぜひ始めましょう/我が社にぜひリプレイスを」と営業をかけても、すげなくあしらわれる可能性が高い。ただ、取引中の顧客満足度は非常に高く、ほかの業者よりも自信がある。そんな時にはLinkedInを使い、信頼を得ている顧客(=Aさん)のコネクションに別企業のマーケティング担当者が居ないかを調べ、Aさんに紹介してもらえないかと頼んでみる。「Aさんの紹介なら」と高確率で商談にまで至れるかもしれない。

 数を打てばいい営業スタイルの会社なら話は別だが、BtoB企業の場合、「戦略上、どうしてもこの企業とは取引したい」といったケースは往々にしてあるもの。そうしたケースでは、社内外の人脈を総ざらいして最も有力な人物にたどり着けるルートを探す、といった場面が見受けられる。それがLinkedInなら、あまり手間をかけず効果的にターゲットとすべき人物を見つけることができる。

 実際にある中国企業は、ビジネスの75%をLinkedIn経由で獲得できるようになったという。ほかにも、アイルランドのベンチャーがLinkedInで投資家候補を700人リストアップして出資を募ったところ、1週間で200人から返信があり、最終的に23万ドルの資金を調達した事例などもある。

 次に(2)の求人・求職の場としての機能について。基本的な機能としては、スカウトメールが送れる、自分から人事責任者に売り込めるといったものになる。

 アメリカは日本以上の転職社会。日本で転職と言うと、転職情報サイトや人材紹介会社を介した活動というイメージがあるが、アメリカではヘッドハンティングや人脈を活かした転職活動も活発に行われている。LinkedInには求人情報を掲載する機能もあるが、人脈を活かした転職活動のために使われている点が特徴的だ。

 例えば、LinkedInにはこんな成功事例が掲載されている。リストラされたある会員が、転職活動のためにLinkedInで前職の同僚とコネクションをつないだ。するとそのうちの1人が、ある企業の幹部を紹介してくれ、前職よりも有利な給与・勤務時間の条件で採用されたという。

 ほかにも、Yahoo!がインドにラボを作る時にLinkedIn経由で適切なキャリアを持つインド人を見つけて採用したこと、Oracleの最高財務責任者(CFO)であるジェフ・エプスタイン氏がLinkedInからスカウトされた、という事例などが紹介されている。

 求人サービス企業Jobviteが2010年5~6月に実施した調査では、「採用活動をサポートするためにソーシャルネットワーク/ソーシャルメディアを使うか」という質問に対して、73%の企業が「使う」と答えている。「使う予定」と答えた企業を含めると82%。その中でもLinkedInは最も支持されており、78%の企業が採用活動に使うとしている。これはFacebookの55%、Twitterの45%を明らかに上回る数字だ。


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著者プロフィール

  • 中嶋嘉祐(ナカジマヨシヒロ)

    ベンチャー2社で事業責任者として上場に向けて貢献するも、ライブドアショック・リーマンショックで未遂に終わる。現在はフリーの事業立ち上げ屋。副業はライター。現在は、MONOistキャリアフォーラム、MONOist転職の編集業務などを手掛けている。

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