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短期集中コラム iPadマーケティング最前線

薬学博士マーケターが挑んだ、BtoB企業初のiPadマーケティング
私がiPadをマーケティングに活用したワケとその成果


 トリプルメディア戦略を構築し、オウンドメディアにiPadを使うことを決断した協和発酵キリンの長谷川氏。他社に先駆けてiPadを活用したマーケティングに取り組んだのはなぜか。そして、その成果はどうなったのでしょうか。(バックナンバーはこちら)

iPadに感じた可能性

 2010年4月にアメリカでiPadが発売になって間もなく、アメリカまでiPadを購入しに行った代理店担当者から実物を見せてもらいました。メディアではすでに話題になっていましたが、具体的にコミュニケーション戦略に活用できるツールだとは、正直なところ全く考えていませんでしたが、実際に触ってみると、画像や映像のクオリティが非常に高いことに驚きました。

 操作も直感的に行うことができ、まさに革新的なデバイスだと感じました。そしてこれは従来のノートPCとは違うだけでなく、これまでのメディアにはない使い方ができそうだと感じたのです。

 前回記事で説明してきた当社の戦略に照らしあわせ、iPadのSTP(セグメンテーション、ターゲティング、ポジショニング)を考えてみたときに、iPadは感度の高いイノベーター層にアプローチできるデバイスになります。このデバイスをオウンドメディアとして位置づけることで、トリプルメディア戦略にさらに厚みが加わると話し合い、社内にも説明をして今回のキャンペーンに組み込むことを決意したのです。

 このデバイスを使った施策にいち早く取り組む事によって、今まで我々がアプローチすることが難しかったイノベーター層に対して、「情熱の系譜」と言う名前、そして協和発酵キリンの社名を認知してもらうことができればと考えました。そして、彼らを通してこの「情熱の系譜」と言う名前が更に多くの人に広がっていくことを期待しました。

iPadをマーケティングに活用する際の課題

 代理店担当者とも相談しながら分析した結果、導入には以下のような課題があることがわかりました。

  • iPadアプリに企業として取り組むことはニュース。ただし、iPad日本発売とともに展開することではじめて時流要素を捉えることができる。遅れてしまうと意味がなくなってしまう。
  • 企業名を冠に置いたアプリは、iPadユーザーであるイノベーターには抵抗を感じられる。ダウンロードしやすくするために、コンテンツ(番組)アプリという展開が望ましい。
  • 既存自社戦略との組み合わせの話題最大化を図る。そのため、TV番組と連動したアプリコンテンツにするとともに、アプリ内企業広告として、コンテンツと連動させた企業情報を制作する必要がある。
  • アプリのクオリティコントロール。
  • iPadというデバイスの特質を活かしたコンテンツ設計。

 事前に上記の課題項目をすべてクリアしていきました。その上で、このデバイスの活用こそ、新しい技術にチャレンジする当社の姿勢に最も相応しく、新しいコミュニケーションを創りあげることができると、私個人としても勇気を振り絞って挑戦したのです。

 アメリカでのiPad発売が4月、日本での発売が5月末ですから、コンテンツを準備する期間は1か月程度。熱い「情熱」をもって取り組み、無事リリースにこぎ着くことができました。

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この記事の著者

長谷川 一英 (薬学博士)(ハセガワ カズヒデ)

1990年、東京大学大学院生命薬学専攻博士課程修了。同年、協和発酵工業に入社。東京研究所に配属、動脈硬化治療薬の探索研究に携わる。2000年、米国スタンフォード大学に留学し、臓器移植の研究に従事。帰国後は、医薬総合研究所で薬の作用メカニズムの分子レベルでの解析を行う。 14年間の研究開発の後、経営...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2010/09/15 13:47 https://markezine.jp/article/detail/11421

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