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一歩先行くSEO/SEM、サーチマーケティング・イノベーション

画像はユーザーに無視される? アイトラッキング最新調査から考えるSEO対策時のポイント【Search Engine Strategies 2010レポート】


画像が注目されるとは限らない

 鮮やかな画像は注目を集めそうだ、という印象はありませんか? しかし、セッションでは、次のようなサイトデザインやコンテンツに関するポイントが挙げられていました。

サイトのデザインやコンテンツに関連するアイトラッキング・データ
  • 似たデザインのページが続くと、似た部分が無視され、特有なコンテンツが注目される
  • 国(文化)によって視線の動きに差がある
  • 画像や動画を探している検索結果でも、画像や動画の周囲にあるテキストが読まれる
  • 画像は無視される場合が多い

 最初に見たページと同じデザインだと分かると、ナビゲーションなどは無視して本文だけに目を通すというのは理解できる行動です。

 画像や動画に対して検索からのトラフィックを上げるには、自分のサイトの画像やビデオが検索結果ページでどのように表示されているかを把握し、最適化する必要があります。YouTubeのビデオ検索結果ページでは、表示されているビデオのサムネイルではなく、まず説明文に視線が行くそうです。

 トップナビゲーションの下にページ幅で美しい画像が置かれ、その下にテキストリンクや文章が置かれたページをよく見かけます。しかし、こうしたページの場合、画像がページの半分以上のスペースを取っているにも関わらず、ユーザーは画像を無視して、その下のテキストを読んでいるそうです。画像が大きいとバックグランド(壁紙)だと思うのでしょうか。情報を求めている人には、まずテキストだけで情報を与える必要があります。

 画像に関しては、通常、視線は濃い色から薄い色へ動くのが自然な動きなので、鮮やかな色を使ったコンテンツが無視されている場合は、「広告と間違えている」か、画像が表す意味が理解できない場合が考えられます。色の好みは国によって違いが出そうですが、単にコンテンツの位置が悪いのではないのですね。

 テキストは、意外にもかなりの効果を期待できるそうです。例として提示されたのは、FacebookとTwitterのヒートマップです。

左がFacebook、右がTwitterのヒートマップ
左がFacebook、右がTwitterのヒートマップ

 フレンドの画像アイコンが並ぶFacebookのフィードページやウォールページでも、画像はまったく無視されてテキスト上だけで視線が動くそうです。この場合は、テキストを読みながら画像が視界に入っている、という方が正確かもしれません。

 テキストが主役のツイッターでは、典型的なF字型ヒートマップになっています。右欄で赤く染まっているのは、「@メッセージ」と「ダイレクトメッセージ」を確認しているからです。

 また、広告タイプ別の注目度でも似たような結果が出ています。

広告タイプ別の注目度
  • イラスト/マンガ ― 29%
  • 画像 ― 35%
  • テキスト付き画像 ― 42%
  • テキスト ― 52%

 テキスト広告というと地味で興味を引きそうにない印象を持ちますが、目にとまる広告として、実は最も効果があるという事ですね。

 しかし、画像がまったく効果を持たないわけではなさそうです。効果的な画像の例としては、次のようなものが挙げられました。

効果的な画像の例
  • 鮮明で解像度が高い
  • 細か過ぎない
  • ページのコンテンツとの関連性が高い
  • 広告に見えない
  • 市販の画像を使わない(見覚えのある画像や、市販画像だという印象を与える画像は無視されやすい)
  • 人物:笑っている、こちらを見ている、セクシーなポーズ
  • 美味しそうな食べ物が載っている
  • 手順や情報を説明している

 期待しているアクションをユーザーに取ってもらえないコンテンツは、色や場所以外にも原因があるそうです。例えば、サイト内検索の検索窓に「ここに検索キーワードを入れてください」などの文字を入れると、検索窓の利用率が下がるそうです。記入させたい欄にはデフォルトで文字を入れず、白紙で提示した方が良さそうです。

アイトラッキング・データから考えたSEO対策

 氏が紹介したアイトラッキングのいろいろなデータと事例から、それらを活用したWebページへのSEO対策実施時の、ポイントを考えてみました。

  1. アイトラッキング・データは視線の動きと固定時間を示すが、その理由は良くも悪くも考えられるため、解析ツールなどのデータと合わせて検討すること。それには、サイト訪問者や検索ユーザーの意図や目的、動機が何かを理解する必要がある。
  2. サイト/ページで提供する情報を、訪問者やユーザーの目的に合った形で提供すること。情報の表示形態としては、テキストが最も視線を集める可能性が高い。画像やビデオにも説明文を付ける。
  3. 理解し難いコンテンツはテキストや画像に関わらず目にとまらない可能性が高いので、重要なコンテンツはより分かりやすくするよう気をつける。特にテキストの量が多いページは、まず一段落目に要約を置くと良さそう。
  4. SEO対策を行なっているキーワードなど検索結果からのトラフィックが多いキーワードは、ランディングページの目につく場所に置くことで、到達したユーザーに対して求めている情報が載っているページだと理解(安心)させる。
  5. 検索結果に自社のページがどのように表示されているかをチェックして、タイトルや説明文を改善する。最適化だけでなく、分かりやすい文章、検索ユーザーの意図に合った文章にすること。
  6. サイト訪問者の意図や目的を満たすコンテンツ、各ページの目的に合ったコンテンツを載せること。意図に合わない画像やコンテンツをいろいろと載せても、それらの認知度を上げるどころか無視される可能性が高い。

 視線の動きには性別でも大差が出るそうで、男女が普通の服装で立っている写真を見せると、女性は男女の顔にだけ注目しますが、男性はまず写真の男性の股間をチェックしてから男女の顔を見るそうです。

 色に対する反応と一緒で、無意識のうちに反射的に行動している部分が見えてくるのがアイトラッキング。面白いですね。視線が集まった場所もそうですが、特に無視された部分の情報を解析ツールのクリック・オーバーレイと合わせて考えると、ランディングページデザインの改善に役立つなと思いました。

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この記事の著者

ハント肇子(ハントモトコ)

 1998年にAJPRを設立以来、世界各地の企業に対してインターネットをベースとした日本市場向けマーケティングを指導。日本及びアジア各地の知識を活かしたサーチマーケティング・コンサルティングサービスは、世界的に有名な企業のサーチマーケティング・キャンペーンを成功へと導いている。また、世界各地のカンファレンスで講演し...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2010/09/29 15:58 https://markezine.jp/article/detail/11676

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