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初心者Webマーケター向けリスティング広告入門

Webマーケティングにリスティング広告を使おう【2】
ビジネスモデルにあわせた予算の決め方

 初心者Webマーケター向けに、リスティング広告について解説します。実践編第2回は、予算の考え方についてです。

ビジネスモデルにあわせたリスティング広告予算の決め方

 リスティング広告の予算は、会社の経営的視点からざっくりと見積もられ、その範囲内で最大の効果を出すことが求められる、というのが一般的な流れです。しかし、リスティング広告を主軸として売上を上げていこうとするならば、異なる視点からの予算決定も必要になるでしょう。今回は、その一部をご紹介します。

リスティング広告の適切な予算の決め方:目標獲得数から考える

 「このくらいのコンバージョン数があるといいな」という、目標のコンバージョン数から予算を決めることができます。主に、単品通販などで用いられる場合の多い考え方です。

目標獲得単価(主に[価格×粗利率=利幅]で計算) × 目標獲得数(コンバージョン数) = 適切な予算

 ただし、企業によりビジネススタイルはさまざまで、単純に利幅だけで目標獲得単価を決められないケースも多く存在します。その場合のオーソドックスな2つのパターンを以下にご紹介します。

利幅が異なる商品が多数ある場合:平均購買単価から考える

 たとえばワインのECサイトを運営している場合、商品によって利幅が異なります。商品数も数百、場合によっては数千を超えてしまうケースも少なくありません。これらをすべて計算して、商品ごとの目標獲得単価を決定するのは容易ではありませんし、リスティング広告運営担当者の作業負荷も多大なものになってしまいます。

 このような場合、顧客の平均購買単価から目標獲得単価を求め、適切な予算を導き出します。

目標獲得単価(平均購買単価 × 平均粗利率) × 目標獲得数(コンバージョン数) = 適切な予算

※ECサイトによっては商品ごとにキャンペーンを構成し、それぞれの目標獲得単価を決定しているケースもあります。

リピート性の高い商品を扱う場合:LTV(ライフタイムバリュー)から考える

 リスティング広告では、LTV(ライフタイムバリュー)という考え方も非常に重要です。顧客生涯価値ともいわれ、1人の顧客がその企業に支払う合計金額を意味します。

 たとえばリピート性の強い商品を扱うモール型のECサイトは、LTVを考慮する必要があります。リスティング広告からコンバージョンした顧客が、複数回リピートすることによって大きな利益を生む可能性があるわけです。

 LTVを用いて目標獲得単価を導き出すには、平均購買単価、原価率、粗利率、平均リピート率が必要になります(ここでは計算式簡略化のため、リピートは1度限りという 設定)。

  • 平均購買単価:10,000円
  • 原価率:70%
  • 粗利率:30%
  • 平均リピート率:50%

 まずは、以下のようにしてLTVを求めます。

価格 + (価格 × リピート率) = LTV
10,000円 + (10,000円 × 50%) = 15,000円

 LTVに粗利率をかけると、目標獲得単価が算出できます。

LTV × 粗利率 = 目標獲得単価
15,000円 × 30% = 4,500円

 オーソドックスなケースでは、目標獲得単価=価格×粗利率=3,000円となりますが、リピート率を計算に加えたLTVを用いると、目標獲得単価は4,500円まで上がります。

 目標獲得単価は低いに越したことはありませんが、その目標が低すぎるために入札単価を大幅に引き下げた結果、獲得数が減少してしまっては本末転倒です。リピート性の強い商材を扱う場合、LTVを考慮した適切な目標獲得単価を導き出し、その上で獲得数の最大化を目指しましょう。

目標獲得単価(LTV × 平均粗利率) × 目標獲得数(コンバージョン数) = 適切な予算

※ただし、闇雲に目標獲得単価を引き上げることに意味はありませんのでご注意ください。

まとめ

 ここでは、ある程度の目安としてのリスティング広告の予算の決め方をご紹介しました。リスティング広告は、自社で管理画面をリアルタイムで操作でき、また、どの程度の予算を投下してどの程度利益があがっているのかをわかりやすく表してくれる、数少ない広告です。

 投資対効果が十分にある状況にもかかわらず、あらかじめ決められた予算に縛られ、配信されない時間帯や配信が弱まる期間を作り、チャンスロスになるのは非常に悲しいことです。獲得を最大化できる余地があるのなら、リスティング広告の予算はできるだけ流動的に扱うことを心がけましょう。

 リスティング広告では、柔軟な予算対応が成果の分かれ道になります。

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この記事の著者

阿部 圭司(アベ ケイジ)

アナグラム株式会社 代表取締役/フィードフォースグループ株式会社 取締役。大手アパレルメーカーを経て運用型広告の世界へ。リスティング広告やFacebook広告を筆頭とする運用型広告の領域が得意なマーケティング支援会社アナグラムを創業。その後、フィードフォースグループにグループジョイン後、現役職。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2012/02/14 08:00 https://markezine.jp/article/detail/15088

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