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ガラケーECの成功体験が通用しないスマホ時代
スマホECでの成功目指して突き進む夢展望

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2013/01/22 08:00

 アパレルEC業界で、F1層と呼ばれる20~34代の女性に向けたファッションECで、大きな地殻変動が起こっている。スマートフォン(スマホ)の台頭で、ガラパゴス携帯電話(ガラケー)の利用者が急激に減少。それに伴い、ガラケー利用者に向けたECで成長を遂げたファッションEC企業がビジネスモデルの改変に迫られている。ガラケーECで急成長した企業の一番手に上げられる夢展望(本社大阪市)も、変革を求められた1社だ。 

ガラケーEC特有のマーケティングで急成長

 夢展望の創業は1998年(当時の社名はドリームビジョン)。ECを始めたのは創業から6年後となる04年とのこと。それから約8年。年商規模は約53億円(11年9月期)まで拡大し、アパレルEC業界の有力企業と言われるまでに存在感を高めた。

 夢展望はF1層に向けたファッションや小物を自社で企画して販売するSPA(Speciality store retailer of Private label Apparel/企画から生産、販売までの機能を垂直統合したビジネスモデル)型のEC企業。生産から販売までを一気通貫で携わることで、「低価格かつ当社でしか購入できない」(岡隆宏社長)というオリジナルブランドを展開している。

 競合のファッションEC企業が、雑誌に掲載した商品を販売するといった有力ブランド商材の展開で業績を伸ばす中、あえて夢展望は正反対の道を突き進んだ。

 成長路線を歩み始めた04年以降は、ECを利用するという商習慣が徐々に浸透し始めた時代。「ECに特化したブランディングの成功事例がなかった」(同)ため、試行錯誤が続いた。プロモーション、撮影、画像作り、キャッチコピーなどクリエイティブ力が必要とされる作業には「かなりの投資をした」(同)。赤字を計上した決算もあったが、「これまで方針を変えなかった」(同)。それがいつしか、ガラケーECの先駆者として夢展望の名が広く知れ渡るようになる。

 岡社長はECを始めた当初から、アパレルの購入チャネルはモバイル中心になると考えていた。小さなガラケーの画面で表示できる画像は多くても5枚程度。「情報、商品の魅力など、限られた枚数で表現することが、ガラケーECの成功ノウハウであり、すべてだった」(同)と話す。

 競合他社がパソコン中心のECを手掛ける中、夢展望はモバイルに注力した。全ての商品にモデルが着用した写真を使うなど、小さな画面でいかに「買いたい」という消費者心理を起こさせるかに力を注いだ。

 「当時は、集客目的のマーケティングはほとんど必要がなかった」と岡社長は語る。ガラケーユーザーがネットにアクセスするとき、最初に表示される確率が高いキャリアの公式サイト。ここに広告を出稿したり、キャリアからショッピングカテゴリーの公式サイトとして認められる「公式サイト」となると、大きな集客経路となってその成果が返ってきた。売れる広告枠を確保し、公式サイトとしてショッピングカテゴリーで上位表示を確保する――。こうしたガラケーEC特有のマーケティングが、夢展望の急拡大をけん引した。

 10年9月期の売上高のうち、ガラケー経由は92%を占めるまでに拡大。ガラケー特有の販売手法、独自のオリジナルブランドの育成が、夢展望が急成長を遂げる原動力となった。

岡隆宏社長。創業後はグルメ、オークションの販売を手掛けたが撤退。
アパレルが当たり、今日の成長につながった
岡隆宏社長。創業後はグルメ、オークション、ブランドの販売を手掛けたが撤退。アパレルが当たり、今日の成長にながった

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著者プロフィール

  • TAMA(タマ)

     流通系専門紙の編集に携わる。現在、サラリーマンをしながら、フリーライターとして執筆活動中。活動ジャンルはITと流通周り。

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