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Facebook広告活用企業特集

Facebook広告で売上倍増/リスティングと同等のCPAで獲得会員数10倍超【第6弾:TOLOT】


「目標値はあえて持たない」TOLOTのFacebook広告戦略

 Facebook広告施策を行うに当たって、具体的な目標値があったのかたずねたところ、「実際のところ、当初はありませんでした」と興味深い返答が田崎氏から返ってきた。

 「事業として、いつまでにどれだけ顧客を獲得したいという目標値はもちろんありますが、広告メニュー単体に対する目標値はありませんでした。運用していく中で、投下した予算に対する顧客獲得数などが見えてきたので、半年後以降はどのくらいDLを獲得するといった目標値を持つようになりました。

 ただ、目標値にとらわれると、逆に失敗してしまうのでは。Facebook広告に関しては、結果的に何人顧客を獲得できたかでいいと思っています。予算や期間に縛られてしまうと、いい運用はできないので、我々の場合は、広告費として投入する予算も明確には月いくらとは決めていません。我々が持っている目標値のCPAを超えてまで、無理に広告は打たない戦略をとっています」(田崎氏)

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 「基本的にはCPAベースで、それを超えなければ広告費を投下して、超えるようであれば使いません。目標値として、何件のDL数をとりたいという数値に縛られてしまっては本末転倒。どうしてもキャンペーンの時期が限られている場合は仕方ないと思いますが、我々の場合、新規顧客を獲得する施策はずっと続けていくことなので、長い目で見て取り組んでいます」(高橋氏)

Facebook広告は、工夫次第で予算が潤沢な大企業と勝負できる

 そしてFacebook広告のメリットについて、「市場価格競争原理の健全性」と田崎氏は指摘する。「例えばリスティングであれば、ひとつのワードに対して、最も高い値段をつけた広告が表示されます。つまり、投下する予算で全てが決まるということ。しかし、Facebookにおける広告が出るか否かの決定的な要因は予算ではなく、その広告がコンテンツとして優れているか否かです。つまり、金額だけでなく、CTRなどのその他の要素も評価されるので、工夫次第で予算が潤沢な大企業と、同等に戦うことができるのです」(田崎氏)

インハウス運用で蓄積したFacebook運用のノウハウ

 また、同社はFacebook広告をはじめ、リスティングなども自社でインハウス運用している。経験値やノウハウの蓄積、そしてPDCAを早く回していくためにも、基本的に全て自前で取り組んでいるという。

 「施策を重ねていくうちに、判断も早くなりましたね。良いか悪いかは、広告を出して3時間もあれば判断できます。初速が悪ければ、その広告の効果も悪いので、すぐにやめて違うクリエイティブを試します。CTRの意味では、後から良くなることはまずありません」(田崎氏)

 「広告の出し方(設定方法)においても、試行錯誤を重ねて適宜変更してきました。施策を始めた2013年9月当初は、競合も少なくブルーオーシャンな状態だったので、CPM(Cost Per Mille/掲載1000回あたりの料金)でうまくいっていました。

 徐々に競合が増えていくにつれて、CPMの単価が高くなり、目標のCPA単価を超えそうになりました。そこでCPMから、CPC(Cost Per Click/1クリックあたりの料金)に変更しました。その後、CPAが設定として使えるようになったので、そちらに変更しました。Facebook側でうまく調整してもらえるので、運用は楽になったのですが、その一方であまりimpが出ずに困った時期もありました。

 その頃に、新機能として出てきたOCPM(Optimized CPM/Facebook側で最適化したCPMを提供するもの)が出てきたので、利用を決めました。それと同時に、細かく切っていたセグメントを止めて、女性全体に向けて広告を打つ方針に変更しました」(高橋氏)

 自分の交際ステータス等を、詳細に記載しているFacebookユーザーはそれほど多くはない。詳細なセグメントを外して、全体に向けて広告をうつことで、これまで漏れていた人たちにも広告を届けることができるようになり、リーチできる数が増えたという。そこに最適に広告を出してくれるOCPMの機能を利用することで、下がっていたパフォーマンスが大幅に改善した。

「The Power of facebook Advertising」より

 Facebookのマーケティングプラットフォームの特徴として、しばしばターゲティングの精度が挙げられる。ターゲットが狭いキャンペーンにおける精度は、Facebookは90%との数値も公開されている。しかし実際のところ、ターゲティングの精度はもちろん大事だが、その反面リーチを重視する広告主も多数存在している。ターゲティングの精度とリーチ、その両方のバランスを考えて施策を設計する力がマーケターには求められる。

 最後に、今後の展望について、「当初の目標である会員数100万人は、先日すでに達成したので、次は300万人のフェーズを目指します。その段階にいけば、景色は大きく変わるでしょう。そして、“フォトブック”というよりは、“TOLOT”と呼んでもらえるようなサービスになれれば。“フォトブック”という言葉にとらわれずに、スマートフォンで撮影した写真を手軽に楽しめる、お客さまの普段の生活に彩を与えられるようなサービスでありたいですね」と田崎氏は締めくくった。

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この記事の著者

安成 蓉子(編集部)(ヤスナリ ヨウコ)

MarkeZine編集部 編集長
1985年山口県生まれ。慶應義塾大学文学部卒業。専門商社で営業を経験し、2012年株式会社翔泳社に入社。マーケティング専門メディア『MarkeZine』の編集・企画・運営に携わる。2016年、雑誌『MarkeZine』を創刊し、サブスクリプション事業を開始。編集業務と並行して、デジタル時代に適した出版社・ウェブメディアの新ビジネスモデル構築に取り組んでいる。2019年4月、編集長就任。プライベートでは2児の母。

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MarkeZine(マーケジン)
2015/05/12 17:06 https://markezine.jp/article/detail/21021

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