Facebook Awardsをご存知だろうか? これはFacebookおよび、Instagram上で展開された世界中のキャンペーンから、優れた企画を選び表彰するものだ。今年で5回目を数える同アワードが、ある変化を遂げるという。フェイスブックのクリエイティブチーム「The Creative Shop」を率いる冨川氏に詳細を聞いた。
Facebook Awardsの特長は、ビジネス目的に則した良いクリエイティブを制作し、数字としても明確な成果を出しているキャンペーンが称えられる点だ。例えば2015年に受賞したP&Gの生理用品ブランドAlwaysが展開した「#LikeAGirl」は、「女性らしさ」をポジティブなイメージに転換し、女性を応援する姿勢を伝える動画をFacebook上で公開。ソーシャル上で話題化して多くのメディアに露出したほか、マーケットシェアが1.4ポイント向上し、59%にまで回復したという。
このように、果敢なチャレンジを行った広告主や代理店は取り組みを広く伝えられ、また、クリエイターやマーケターは良例からヒントを得ることができる。「私たちのプラットフォームは真っ白いキャンバス。実に様々な表現が可能です。その中で単純に魅力的なだけでなく、“ビジネスに寄り添い、且つ魅力を放つクリエイティブ”をアワードで紹介できていると考えています」と冨川氏。
このアワードに、今年2つの大きな変化が起きるという。それが、地域別の審査制度の制定と、中小企業向けのカテゴリーである「Small Business」部門の設置だ。
これまで、クリエイティブの良し悪しは米国フェイスブック社が設ける第三者組織が審査してきた。トップレベルのクリエイターや、広告業界関係者で構成されているため、見る目は確かだ。しかし、一方で課題もあった。それが、アジア等のいわゆる欧米以外の国々のキャンペーンが埋もれがちな点だという。
「例えば、女性向けの商品でも国や地域によって、刺さる表現やエモーションは異なります。審査員は米国に拠点を構える人物が多いため、どうしても、彼等の感覚が近い欧米を中心にしたキャンペーンが選ばれる傾向がありました」冨川氏は語る。外資系のマーケターが、本国に企画の良さを伝えてもなかなか理解してもらえないシーンと似ているかもしれない。
「日本をはじめ、アワードの選出数が少ない国のキャンペーンが劣っているわけではありません。カンヌライオンズのような、大きなアワードでは多くの作品が受賞をしている点からも明らかです」と冨川氏。
このような背景から、今年からは各地域で選出された優秀な作品が、グローバル選考へと進むフローがとられるという。当然、審査をするのは各エリアの第一線で活躍する人々であり、日本からの応募者も納得感を得られる人選になるという。「この取り組みによって、これまで以上に日本のベストプラクティスも世界で広く共有できればと考えています」冨川氏は展望を語る。
もう一つの変更点、「Small Business」部門の設置も、アワードで扱うキャンペーンの幅を広げるものだ。何か受賞するクリエイティブは、潤沢な予算を持つ有名企業のもの。そんなイメージを持つ人も多いのではないだろうか? しかし、FacebookやInstagramでは規模の大小を問わず様々な企業がキャンペーンを展開している。その中には、斬新なアイディアや大きな成果をあげた中小企業のキャンペーンも多く存在している。「アワードを通して中小企業の良例を示すことで、より一層多くの方にインスピレーションを提供する機会が生まれると考えています」と冨川氏。
Facebook Awards 2016の結果が発表されるのは6月。新しくなったアワードによって、どのようなキャンペーンが選出されるのか。今から気になるところだ。なお、キャンペーンの応募が1月8日(米国時間)よりスタートしている。2015年に実施した施策で、良い結果を出せたかたは応募してみてもいいかもしれない。