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世界的なインタラクティブ・エージェンシーR/GAが語る、すべてがつながる時代のエージェンシーのあり方

 アタラ合同会社が運営するメディア「Unyoo.jp」から、コラムやキーパーソンへのインタビュー記事をピックアップして紹介する本連載。今回は、アタラ 取締役 COOの有園氏による、「iMedia Brand Summit Japan 2016」の参加レポートの要約版です。

 2016年5月23~26日、沖縄残波岬ロイヤルホテルにおいて「iMedia Brand Summit Japan 2016」(通称:ブランドサミット)が開催された。同イベントに参加したのは、昨年に続いて2回目になる。

 ブランドサミットを簡単に説明すると、動きの激しいデジタルマーケティング業界のトレンドを一気に把握でき、かつ、業種・業界の壁を越えて人的ネットワーキングができるグローバル型カンファレンスだ。日本を代表する、あるいは世界的なブランド(広告主企業)のマーケティング責任者/広告責任者と、パートナー(ツールベンダー、サービスベンダー、広告代理店など)が参加する。主催者はComexposium Japanで、6回目となる今年は、約350名の参加者が集った。

すべてが”つながる”時代のエージェンシーのあり方

 4日間にわたるイベントでは様々なセッションが催されたが、その中でも、今回は、R/GAのJay Zasaさん(SVP, Executive Creative Director, Campaigns)の「Designing an Agency for the Connected Age(すべてが”つながる”時代のエージェンシーのあり方)」が素晴らしかった。

R/GAのJay Zasa氏

 R/GAは、いま世界で最も注目れているインタラクティブ・エージェンシーの1社だ。同社の創設者/Chairman/CEOである Bob Greenberg氏のことを知っている人も多いだろう。今回のJay Zasaさんのスピーチでは、「Agency Accelerator」について語られた。

 「the Connected Age」の背景にはやはりIoT(Internet of Things)がある。R/GA Acceleratorの「IoT Programs」についても、ご存知の方が多いと思う。Jay Zasaさんは、Agency Accelerator を「Communication」「Products/Services」「Business Transformation」の3つにわけて紹介した。Products/Servicesの事例として Nike+ を取り上げたほか、Business Transformationの事例として Los Angeles Dodgers を、そしてCommunicationの事例として、BeatsとSamsungのケースについて話した。

 これらの個別の事例の詳細については触れないが、R/GAの仕事に共通する特徴的な視点として、「Whole Idea」を重視していることを紹介していた。伝統的な広告やマーケティングで重視されるトップダウンの「Big Idea」と、ボトムアップの視点で消費者の動きや声を分析する「Digital Tactic」、そして、その両方のアプローチを組み込んでいるのが、Whole Ideaとのことだった。

 そして、このWhole Ideaを日々の仕事の中で実践するにあたって、R/GAのスタッフが意識していることとして、下記の3点が挙げられた。

1:Advertising is not everything
2:Storytelling is still alive and well
3:Connecting your businesses can transform it

Advertising is not everything

 すでに10年以上前からメディアニュートラルという概念が叫ばれ、いわゆるマス広告中心のコミュニケーションではなく、すべてのメディアをニュートラルに捉えてコミュニケーションプランニングする必要があるということは日本の多くの広告関係者が理解していると思う。

 R/GAはさらにその先を実践している。メディアニュートラルを過去のものとして、広告媒体だけをメディアと考えているのではなく、広告媒体以外も含めて「everthing」を対象にコミュニケーションプランニングしているということだ。IoT時代、あるいは、the Connected Ageのコミュニケーションのあり方の基本として、このコンセプトを位置づけているようだった。

 少し脱線するが、Twitter Japanのプレゼン「How to generate buzz from marketing on Twitter with an MAU of 35 million」で、「Twitterはあらゆる瞬間をつなぐ「橋」である」という話を渡辺英輝さん(Twitter Japan, ヘッドオブブランドストラテジー)がしていた。ここでいう、「あらゆる瞬間をつなぐ」とは、広告媒体だけに閉じた世界ではなく、まさにすべての事象を対象にしてユーザーがつぶやく情報が Twitter に反映されてくるという意味だ。したがって、Twitter社が意識していることも、R/GAのいう「Advertising is not everything」に非常に近いものだと感じた。業界のトレンドは当然、この方向に向かっているということだろう。

Storytelling is still alive and well

 the Connected Ageには、Digital Tactic に目を奪われがちである。Digital Tactic は重要であり、すべての広告関係者が体得すべきものであるが、しかしながら、伝統的なトップダウンのBig Ideaから生まれるStorytellingは引き続き不可欠なものであり、「still alive and well」だ。つまり、Storytelling は、いまでも効果的だし(still alive)、よく機能する(well)という意味だ。

Connecting your businesses can transform it

 3つめのポイントは、これからの企業の生き残りのために非常に重要なコンセプトである。この話を聞いてすぐに思いついたブランドはまず、Netflixだ。Netflix は創業当初はDVDレンタル事業者だった。それが、いまは世界最大のストリーミング配信事業者だ。多くの人が知っていると思うが、Netflix は自社のもついくつかの事業やサービスをうまく組み合わせて(Connecting your businesses)、世界最大のストリーミング配信事業者として変革を成し遂げた(can transform it)。

 また、富士フイルムもその好例だろう。私の知る限り、2005年ごろまでは写真フィルム事業者だったが、デジタルカメラの普及によってそのままでは生き残りが難しくなった。そこで、写真フィルム事業や関連する精密科学事業の R&D で培った成果を応用して、化粧品事業や健康食品事業に乗り出している。「Connecting your businesses can transform it」というわけだ。

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この記事の著者

有園 雄一(アリゾノ ユウイチ)

Regional Vice President, Microsoft Advertising Japan早稲田大学政治経済学部卒。1995年、学部生時代に執筆した「貨幣の複数性」(卒業論文)が「現代思想」(青土社 1995年9月 貨幣とナショナリズム<特集>)で出版される。2004年、日本初のマス連動施策を...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2016/06/03 08:00 https://markezine.jp/article/detail/24510

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