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デジタル広告の適切なROI評価~アドベリフィケーション最新動向

広告効果検証の現状と課題【アドベリフィケーション最新動向】


 デジタル環境の一般化に伴いデジタル広告の必然性がますます増しています。その流れと平行するように「アドベリフィケーション」に対する関心も高まっています。本連載では最新動向や事例をベースとして、現状の課題を浮き彫りにしつつ、今後についても考えていきます。

注目度が高まるアドベリフィケーション

 デジタル広告の「広告効果検証」や 「アドベリフィケーション」という言葉は、2011年頃より日本国内でも話題になり始めましたが、昨年2016年には広告の「透明性」や「監査」という新たな視点でその重要性が盛んに議論されるようになりました。

 広告の視認性(ビューアビリティ)やブランド毀損につながるコンテンツへの配信(ブランドセーフティ)、ボットによる不正トラフィックの増幅(無効トラフィック)など、一言で「アドベリフィケーション」と言っても様々な側面や指標や、人による捉え方が存在します。

 今回は上記指標をすべて含め、総合的な観点からのアドベリフィケーションとその先にある「広告」としてのデジタル広告の価値、真の効果につながるデータやソリューションの利用について複数回にわたり解説します。

 第一回は、アドベリフィケーションの定義やデジタルメディア(国内外含め)が抱える課題と現状を明らかにします。

日本におけるアドベフィケーションのトレンドと現状

 筆者は日本国内外の様々な広告主様や代理店様、媒体社様、テクノロジーベンダー様とお話させていただく機会がありますが、アドベリフィケーションに対する意識は大きく二つに分かれるようです。

 一方は見られない広告に価値はなく、不正ボットによる無効トラフィックやブランド毀損につながる広告配信は言語道断と考える層。もう一方はアドベリフィケーションの必要性は理解しつつもCPCやCPAに重きを置き、KPIとしてビューアビリティなどの受け入れに懐疑的な層です。

 両者を比べると、前者はオフラインを含むマーケティングに携わる広告主や代理店の方が多く、後者はデジタルに熟知した代理店やテクノロジーベンダーの方が多い傾向があります。デジタルやアドテクノロジーの新たな指標・考え方については、通常はどちらかと言えば「デジタルリテラシーの高い層」に比較的前向きに受け入れられるのですが、ことアドベリフィケーションに関しては真逆の現象が見られるのです。

 違いはどこからくるのか? それは、マーケターの方はデジタル広告をあくまで広告の一手段として捉え、評価や効果においても「広告」としての基準を追求するのに対し、デジタル専門の方はこれまでデジタルにおいて重要なKPIとして受け入れてきた指標を重視するからでは、と考えます。

 国内のデジタル広告および同業界は、検索連動型広告を中心に発展してきました。クリックをKPIとする考え方も恐らくこれに起因しているのではと考えられます。すなわち、デジタル広告を広告としてではなくクリックやトラフィックを誘発する「デジタル手法」と捉え、「広告」の本質から逸脱してしまったのではないでしょうか。

 その結果、デジタル広告業界が急速な成長を遂げ、デジタル広告への予算が増加してくるに従い、デジタル広告に「広告」として本来の価値を求める層との間でデジタル広告に対する意識の齟齬が生まれたのです。

 メディアやインプレッションの質を考慮せず、クリックを基準にすべてのインプレッションを同等に比較し、クオリティの高いプレミアムパブリッシャーの広告掲載面や広告枠を過小評価する、その結果として、CPMの頭打ちや強制的なトラフィックの増加、偽ニュースをはじめとした低クオリティメディアの増長や不正ボットによる無効トラフィックの横行につながってしまいました。

 RTBや第三者配信、トレーディングデスクへの理解や浸透度の低さも、アドベリフィケーションの普及で日本が欧米に後れをとっている大きな要因です。しかし最近ではグローバルのマーケターや国内大手代理店を中心に積極的な計測や改善ツール導入が進んでおり、日本のアドベリフィケーション普及率がグローバル水準に到達する日も近いと予想しています。

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この記事の著者

山口 武(ヤマグチ タケシ)

Integral Ad Science Japan株式会社 アカウント・エグゼクティブニューヨーク大学ティッシュ芸術学部卒。2006年、Oddcast, Inc. 入社。2008年、Experian Marketing Solutions, Inc(ニューヨーク本社)にて大手広告主のマーケティングキ...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2017/12/29 14:27 https://markezine.jp/article/detail/26341

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