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「動画はリーチからのエンゲージメントを」 アサヒビールと講談社が語る、コンテンツ起点のマーケティング

「放送としての動画」と「通信としての動画」

押久保:CAMPANELLAが体現している、単純にリーチやコンバージョンといったわかりやすい獲得系の指標ばかりを目指さないメディアスタンスは、特に最近ようやくデジタルの世界全体でも見られ出した印象です

長崎:ご指摘の通りです。一つはネット広告市場において、ある原点回帰が起きています。

 広告主の動画広告がどの媒体で配信されるか、逆の立場でいうとメディアにどんな広告素材が配信されるか、といったブランドセーフティに対する議論が活発化していますが、旧来メディアなら、適切な環境整備や広告審査などは当たり前にやっていました。影響力を増したネット広告にとっても避けては通れないことです。

 動画広告について言えば、「放送とネット配信の違いは何なのか?」という議論もこれまで以上に活発になると思います。ユーザー視点ではテレビとスマートデバイスの利用実態の把握が重要。そして、広告主視点ではテレビCMとWeb動画広告の効果について、リーチとしては「パリティ=同等」に評価する見方と、その質を見極める評価が併走するでしょう。垣根がなくなるにつれ双方の広告価値がしっかり語られる必要がありますね。

押久保:たとえば、テレビCMに対する一回の接触価値とオンライン動画の接触について同じコンディションの中で評価できるか、といった話ですね。

長崎:はい。その一方で、同じネット配信でも「テレビ局とWebメディアはやっぱり違う」という側面があります。ブランドセーフティや広告審査への意識、動画の視聴環境、広告とコンテンツの編成ノウハウなどにおける差異です。

 このような話題は海外では非常にホットで、先日行われた「ADVERTISING WEEK ASIA」のプログラムにおいても、動画プラットフォームとテレビ局との戦いとして話題になりました。テレビ局も各方面と資本提携して巨大なデジタルプラットフォームへの対抗策を講じていますが、規模の拡大に加えて、「質」による差別化も目指しています。

 北米の大手テレビ局は「テレビプレミアムコンテンツのブランド寄与度合い」の可視化にやっきになっています。彼らのコンテンツに挿入されたテレビCM(または動画広告)が生み出す認知獲得やブランドリフト効果について、YouTube、Facebookなどで表示される動画広告のそれらとどう異なるのか、という調査に力を入れています。

 このあたりが解き明かされると、メディアへの評価が変わりますし、動画広告への向き合い方も変わるはずです。

市場の伸び代は“エンゲージメント”にあり

押久保:ここまでの話を、事業会社という立場からだとどう考えますか?

馬場:先ほど運営について「試行錯誤しながら」という言葉を使いましたが、動画に限らずテキストを含めて、自分たちが発信したコンテンツを通じての効果がもっと明確に示せるようになりたいですね。予算を投じて、試行錯誤を重ねてコンテンツを作っているわけですから。

 私たちは、3年間メディア運営を続けていますが、スタンスを変えずに、愚直にコツコツと作っています。今後も、パートナーさんを選びながら誠実に作り、発信することを大切にしていきたいと思っています。

 たとえば、実績のある方に動画や記事といったコンテンツ制作を依頼し、仕上がりの内容にも厳しい目を光らせています。お酒業界に合わない内容や、業界タブーを盛り込んで逆におもしろさを出すような意図のコンテンツも受け付けていません。

 お酒のこと、お酒の業界への理解や尊重をベースにコンテンツを作り、それがユーザーにも私たちの思いとして伝わってほしいのです。

長崎:まさしく生活者、ユーザーのためのコンテンツであるかどうか、ですね。市場の伸び代は、その部分が該当すると思っています。電通の「2016年(平成28年)日本の広告費」では、テレビメディア広告費(地上波テレビ+衛生メディア関連)が約2兆円、ネットの広告費が約1.3兆円と発表されていましたが、テレビ広告主のネットシフトを加速させる動機は獲得ではなくて「生活者を意識したエンゲージメント」だと考えます。

 実際、国内のプログラマティックな広告配信に対する投資は、伸びてはいますが激増しているわけではありません。このままでは、欧米のようにネット広告費がテレビ広告費に並ぶことはないでしょう。

 改めてメディアの定義や責任が問われたのが2016年でした。最近では従来のネット広告サプライヤーの変革に加えて、旧来メディアのデジタルシフトも目につくようになりました。翔泳社さんもそうですし、弊社もそうです。勝負は「エンゲージメント力」。この動きが加速することで、テレビ広告への予算にネット広告が近づくのではないでしょうか。

  そもそも、ファンにしたり、理解促進したりするのはプリントメディアの役割でした。現在もその一部は担いますが、かつてほどダイナミックではありません。いわゆるマーケティングファネルにおける「空洞化した真ん中部分」は、ネットにおいては動画広告とネイティブ広告がその役割を担っていくと思います。

 そういう意味で、イチ生活者の視点で言うと「ブロックするのではなく、見にいきたい」と思わせるような動画が、CAMPANELLAでもいっぱい見られることは、非常に嬉しいことだと思っています。今後も期待したいですね。

馬場:ありがとうございます(笑)。引き続き、ご期待に応えられるようにしたいです。

「CMerTVとスキルアップ・ビデオテクノロジーズが考えるキャンペーンエンゲージメントとは」こちらから

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この記事の著者

押久保 剛(編集部)(オシクボ タケシ)

メディア編集部門 執行役員 / 統括編集長立教大学社会学部社会学科を卒業後、2002年に翔泳社へ入社。広告営業、書籍編集・制作を経て、2006年スタートの『MarkeZine(マーケジン)』立ち上げに参画。2011年4月にMarkeZineの3代目編集長、2019年4月よりメディア部門 メディア編集...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

遠藤 義浩(エンドウ ヨシヒロ)

 フリーランスの編集者/ライター。奈良県生まれ、東京都在住。雑誌『Web Designing』(マイナビ出版)の常駐編集者などを経てフリーに。Web、デジタルマーケティング分野の媒体での編集/執筆、オウンドメディアのコンテンツ制作などに携わる。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2017/09/19 17:03 https://markezine.jp/article/detail/26651

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