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データ活用が企業の命運を左右する時代 次世代マーケターに求められる”投資の感覚”とは

2017/07/27 10:00

 昨今、企業が向き合うべきデータは種類・量ともに膨らみ続けています。本連載では、データテクノロジーカンパニー「Supership」の専門家たちが、「デジタルマーケティング」「DMP」「データビジネス」という3つのテーマで企業のデータ活用を考察。1回目は、広告事業本部 事業戦略室にて室長を務める八重樫健氏が、マーケターがこれから「デジタルマーケティング」にどう取り組むべきかを論じていく。

まずは「デジタル化」の意味を正しく捉えることが重要

 ここ5年間で、マーケターを取り巻く環境は大きく変化しました。特にマーケティングの「デジタル化」は年々急激なスピードで進んでいます。私は2012年当時、外資のコンサルティングファームでマーケティング戦略の立案などを担当していましたが、ナショナルクライアントの経営陣でも、DMPという言葉を知っている人は、ごくわずかでした。

 しかし2017年現在、経営層を含めマネジメント層の意識は大きく変わってきています。DMPの重要性への理解はもちろん、データによりあらゆるものが可視化されるようになったことで、KKD(勘、経験、度胸)に頼っていたマーケターも、データドリブンに考えを切り替え、「デジタル化」を推進しています。

 この「デジタル化」の意味をどう捉えるかで、活用のインパクトは大きく変わってきます。ネット広告が伸長していること、これはデジタル化による環境変化の一側面でしかありません。本当の意味でのデジタル化は、デジタルメディアへの広告配信におけるデータ活用という限定的なものではなく、TVCMを初めとするマス広告を、さらにはサービスやプロダクトを含むマーケティング全体のパフォーマンスをデータ活用によって向上させるものであるべきです。つまり、デジタルをメディアのひとつとして捉えるのではなく、マーケティング全体の基礎として捉えることが重要になります。

 また、「マーケティング予算に占めるデジタル広告の比率を高めること」がデジタル化というわけでは決してありません。データによりユーザーおよびマスを含めたマーケティングの効果を可視化し、サービス・プロダクトのクオリティを引き上げ、最適なターゲットやタイミング、チャネル、メッセージで届けることが真のデジタル化といえるでしょう。

短期的な“費用”から中長期的な“投資”へ

 これまでマス広告、デジタル広告ともに、短期的な効果を見込み、”費用”をかける考え方で多くの企業が取り組んでいたと思います。これがデジタル化により、「データという新たな資産を活用することでユーザーを個で把握・可視化でき、ユーザー一人ひとりとのエンゲージメントを醸成する」という、中長期的な効果も見込んだ”投資”としての考え方が必要とされてきています。

 これまではユーザーの情報源がマスメディアに限られていたため、TVCMなどのマス広告で一方的に発信することが、ユーザーの認知促進、獲得において効率的であった時代でした。

 しかし現在、スマートフォンとソーシャルメディアの発展などを背景に、ユーザーは日々大量かつ多様な情報と接触しています。こうした環境下において、自分たちの商品を認知、購入してもらうことは困難を極めています。解決策として大量の広告を一方的に投下したとしても、ユーザーのノイズになってしまう場合もあり、ブランド毀損やユーザーの離脱という事態を招いてしまう恐れがあります。

 では、企業はどういった戦略を取るべきなのでしょうか。それは、ユーザー毎に最適なコミュニケーションを取ることでエンゲージメントを高め、長期的な関係を構築していくことです。

 ユーザーの情報源・接点が増えると同時に、顧客情報や閲覧・行動履歴などのデータも増え続け、以前よりもユーザーのペルソナは浮かび上がりやすくなっています。こうして増加した接点とデータによって、マーケターがとり得る選択肢は無数の広がりをみせています。

 だからこそ自社の課題に合わせて、長期的な目的を見据え、限られたマンパワーや予算をどのミッションに投じるのが最適なのか。さらに、そのミッションを達成するには、どの選択肢を選ぶことが最適なのか。つまり、マーケターの判断というのは、より中長期的な“投資”に近づいていく、もっといえば“経営”に近づいているといっても過言ではないのです。

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