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MarkeZine Day 2023 Autumn

クラシエファンと交流し、企業の基礎代謝を上げる!超少数コミュニティ活動「共想いカンパニー」の過程

調査とミートアップの両輪で進める「共想いカンパニー」

 共想いカンパニーは、コアファンを見つけ出し、その条件を絞る「調査」と実際のアクティビティである「ミートアップ」の両輪で成り立つ。

 調査から見ていこう。ミートアップは社員メンバーを含めて計10名程度で考えていたため「コアファンが実在するのか」も含めて調査する必要があった。そこで、まず行ったのが定量調査だ。2021年5月、2万5,853人を対象にクラシエファンの数の把握を試みた。その結果、ファンは全体の14%、約3,600人いた(※)。

※ファンであるか否かを問う質問で、「熱狂的なファンである」「ファンである」「ややファンである」と回答した人の合計割合

 なお、同業4社との比較では、クラシエのファン数は5社平均よりもやや少なく「熱狂的なファン」と自認する人の割合も1.2%と、平均値よりやや低かった。

「他社と比較するとまだまだ増やしていく余地はありますが、クラシエには確かにファンがいる。その事実が知れて、大変心強く感じられました」(北原氏)

クラシエホールディングス 経営企画室企画部 兼 CRAZY創造部 課長 北原裕子氏

 また、クラシエのコアファンには評価の理由も合わせて聞いた。その結果「新しい製品やサービス」や「日常生活に新しい風をもたらしてくれる」といった“新規性”が評価ポイントだったという。「このような想定外の評価を受けたことは、非常に励みになった」と北原氏は述懐する。

 さらに、ファンの「デモグラ属性」や「共創意向」など、ゆくゆくのミートアップ実現の参考になりそうな各種データも集めていった。

各商品・ブランドが独自の役割でファンと接点を持っていた

 次が定性調査だ。先の定量調査で見つかったコアファンの中から、若年層をメインにグループインタビューを行った。ちなみに、なぜ、若年層をインタビュー対象のメインに据えたのか。なぜなら、クラシエの商品ファンのボリュームゾーンは、女性でかつ20代後半からシニアだというが、定量調査の結果からクラシエ企業に対しては「若い男性や子育て中の男性など、デモグラ的には少数派のコアファンも一定数いる」ことが判明したからだ。それも新たな発見だったため、インタビューではあえて彼らに的を絞り、これまでのクラシエとの接点などを聞いていった。

定性調査であるグループインタビューでは、クラシエファンがファンになるまでの過程を詳しいヒアリングした

 インタビューの末、クラシエファンになるきっかけやクラシエの各ブランド・商品との接点が聞けた。その一例が以下だ。

シーン1:思春期を迎え、他人の目が気になり始めた。そこで、姉が使っている『いち髪』や『ナイーブ』を手に取った。その結果、学校の友達からは髪質や香りを褒められた。姉が使っていたクラシエの製品は非常に品質が良い、と実感した

シーン2:一人暮らしを始めた。コストを抑えて安い商品を購入してみたものの、その品質には満足できず、家で使っていたものの良さを改めて感じた。そして、それがクラシエの製品だと気づいた

シーン3:子どもが生まれた。我が子には極力、刺激の強くないものを選びたい。そこでクラシエの商品を手に取る。また、自分の体調が良くない時に、クラシエの漢方薬と出会い、その価値を実感した。

クラシエの多様なブランド・商品群とファンとの接点がグループインタビューで明確になったという【クリック/タップで拡大】

「こうしたエピソードをファンの方々から直接聞くことで、我々としても、当社の各ブランド・商品が、ファンの方々の生活を豊かにするために、独自の機能を果たしていたことを実感しました」(北原氏)

 さらに、調査では「企業のコミュニティ活動に対し、どのような関与の仕方を希望するか」と尋ね、その回答結果をまとめたところ、コアファンの中でもその積極性に違いが見られたという。つまり「アンケートに回答すれば良い」「企業が発信するコンテンツを読めれば良い」と回答したファンもいる一方で「積極的に関わりたい」と答えた人もいたとのこと。

 そこで、次のステップであるミートアップでは、「積極的に関わりたい」と答えた人の抽出条件を整理した上で、ミートアップのメンバーを選ぶことにした

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社員証や入社式など、“カンパニー”としての工夫が凝らされた

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この記事の著者

タカハシ コウキ(タカハシ コウキ)

1997年生まれ。2020年に駒沢大学経済学部を卒業。在学中よりインターンなどで記事制作を経験。卒業後、フリーライターとして、インタビューやレポート記事を執筆している。またカメラマンとしても活動中。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2023/10/23 09:00 https://markezine.jp/article/detail/43534

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