KPIを移行することへの課題
ゴンドラの運営する「LIFT」では、KPIをCPOやROASに移行することについてもマーケターへの調査を行っている。「広告運用のKPIをCPAからCPOやROASに移行した経験はありますか?」という質問では、「経験あり」が73%という回答となった。
「CPOやROASを重視する広告運用において、どのようなデータやツールを利用していますか?」という質問では、「CRMツール」が68%、「MAツール」が54%、「自社データベース」が44%、「広告媒体の管理ツール」が36%、「カスタマープラットフォーム」が22%だった。
前の回答からKPIを移行する動きは顕著なように思えるが、そう簡単ではないようだ。「CPAからCPO、ROASにKPIを移行する際に苦労した点は何ですか?」という質問では、「運用担当者のスキル不足」が58%、「社内の理解を得ること」が56%、「必要なデータの収集・統合」が49%、「適切なツールの導入」が36%となるなど、現場では様々な課題があることが見えてくる。
「我々は、CPOをどのような観点で算出すればよいかについてもお客様に寄り添いながら支援し、しっかり逆算しています。そうすることで、課題が明確になりKGIが見えるようになってきます。マーケティング現場の悩み解決のために、施策が契約や事業、KGIにどれだけつながるかをきちんと指標化して、それを運用管理する時期にきていると感じています」(細野氏)
ゴンドラでは、運用型Web広告とアフィリエイト広告のコンバージョン成果を統合するツール「EnConnect(エンコネクト)」を提供している。これにより、重複成果への支払いを防ぎ、各チャネルの貢献度を正しく評価することでコンバージョンを最適化し、結果としてKGIにどれだけつながったのかを見定めることができるのだ。
あるクレジットカード会社の事例では、約3ヵ月でカード発行単価が30%改善されたという成果が出ている。
OOHのリーチや効果は計測できる
プロモーションには直接・間接含め様々な方法があるが、ここでは効果的な認知施策であるOOHにフォーカスしていく。OOHは、どれだけリーチできたのかを把握しにくい、投資対効果を算出できない、クロスメディア効果の計測が難しいと思われがちだが、細野氏はそれを否定する。
「ジェイアール東日本企画(jeki)が提供しているサービス『MASTRUM(マストラム)』を使えば、OOHの広告効果を可視化できます。jekiとは共同出資して合弁会社を設立する関係にあり、当社で『MASTRUM』を提供する環境を整えています。OOHの視認を数値化できるほか、掲出の指定が可能で、駅や車両以外にレジのサイネージや街頭OOHにも展開できます。つまり、OOHにデジタルを加えたDOOHに対応しています」(細野氏)
「MASTRUM」ではリアルタイムでのデータ取得、車両乗車人数からの拡大推計、インプレッションの算出もできる。そうしたデータから、ブランドリフトを調査したところ、Webのみが51.2だったものと比べてWebにOOHを組み合わせた場合は90.2と39ポイント認知リフトが高くなった。さらにTVを組み合わせたトリプルメディアでの展開では、168.3とWebのみの3倍以上の成果が出た。
「当社で実際に計測したものでは、WebのみとWeb×OOHを比較すると233%増でした。指名検索のキーワード数もかなり増加したという結果が出ていますので、間接効果も出ていて、しっかり計測ができています」(細野氏)

