DataCurrentだけがクラウド基盤の見直しを提案したワケ
稲垣:パートナー企業を決める際、ほとんどの企業からAWSベースで新基盤を構築するご提案をいただいていました。当社でもその方向で考えていたのですが、DataCurrentさんだけは「Google Cloudがベストアンサー」とおっしゃったんです。当社のやりたいことを踏まえて提案いただいたため、迷った末にGoogle Cloudを活用してリプレイスするジャッジに至りました。

古田:当社はAWSのパートナーでもあるため、クラウドやシステムの選定にあたってはあくまでフラットな立場であることをお伝えしておきます。WOWOW様の場合は、生成AIの活用を含めた長期的なロードマップを描いていらっしゃったほか、エンジニアのリソースを踏まえると基盤の開発・運用・保守を効率的に回す必要がありました。そこで、Google Cloudを活用したシステム構成が最適だと考えた次第です。
──プロジェクトを進めるにあたり、工夫したポイントはありますか?
稲垣:データ基盤を構築したことに満足して、活用や高度化が進まないケースは往々にしてあります。「基盤の刷新はゴールではなくスタート」と意識的に発信していました。
また、旧基盤の課題として「データマネジメントの不在」を挙げたとおり、我々の部門が中心となってガバナンスを利かせる必要がありました。ただ、ガバナンスを利かせすぎると、やりづらさも出てきます。全体のバランスを見ながら「このリスクは許容できないから、前よりも使いづらさを感じるかもしれないけど、飲み込んでほしい」という具合にデザインしていきました。
構築後の成果を生み出す三つの活動
──一連のプロジェクトにおいて、DataCurrentが担った役割を教えてください。
古田:基盤を選定した上で、開発のところをお手伝いしました。各システムから基盤へのデータのつなぎ込みや、データの整形とBIツール/マーケティングツールへの接続などが我々の担った役割です。基盤の構築後は、データを実際に使う部門の伴走支援に加え、基盤の高度化を見据えたプロジェクトマネジメントという立場で関わっています。
──データ基盤の構築後も、成果創出のための仕組みづくりをDataCurrentが支援しているとうかがいました。具体的な活動内容をお話しいただけますか?
古田:「データマネジメントを推進する活動」「データを活用する部門の伴走支援」「データ基盤の高度化」これら三つを現在進行形で進めているところです。データマネジメントの推進については、基盤構築後の活用状況をモニタリングするとともに、活用がもたらす価値を可視化。トップラインの拡大や業務効率化によるコスト削減など、指標の設定から計測、アクションプランの策定を我々が支援しています。
伴走支援に関しては、対象の部門を絞ってデータ活用のスピードを加速する活動をスタートしました。データ基盤を高度化する第一歩として、BIツールのダッシュボードに生成AIを実装しています。分析のスピードアップはもちろん、示唆出しの自動化などにもチャレンジするつもりです。将来的には機械学習を使って会員にフラグを立てるなど、今あるデータのリッチ化にも取り組みたいと考えています。
──データのリッチ化とは、たとえばどのような活動でしょうか?
稲垣:過去の視聴履歴から会員の趣味趣向をスコア化するような活動をイメージしています。

