4象限でとらえ最適化する、チャネル戦略
現在、アンカー・ジャパンは「ECモール(Amazon、楽天、Yahoo!など)」「オフラインモール(家電量販店、コンビニなど)」「自社ECサイト(Anker Japan 公式オンラインストア)」「自社オフライン店舗(常設直営店 Anker Store)」の4象限でチャネルをとらえている。芝原氏は、各チャネルの個性を理解し使い分ける大切さを説いた。

「ECモールでは、自分たちがやりたい表現やサービスを100%やりきることが難しい。一方で自社ECサイトは、やりたいことはできるものの、集客から何からすべて自分たちで背負う必要があります」(芝原氏)。
他にも、オフライン店舗では「製品を実際に手に取って検討したい」と考える顧客に体験の場を提供できる。ECモールにおいても、たとえばAmazonは「欲しいと思ったらすぐに買える」スピード感とレビューの可視性に優れる。一方で、楽天は「楽天経済圏」に属する独自のユーザー層を抱えており、それぞれターゲットが異なる。また、ECモールが持つロジスティクス機能による在庫の一元管理と迅速な配送の両立も大きなメリットとなる。
各象限・各チャネルの一長一短を理解し、自社のリソースや製品特性に合わせた戦略選びが必要になると芝原氏は説明した。
組織の構造改革で、カテゴリーごとの個別最適から全体最適へ
セッションでは、組織面の最適化についても触れられた。戦略を確実に実行に移すため、アンカー・ジャパンは数年前に組織構造の抜本的な改革を実行。かつてはAmazon、EC、リテールなど販路や機能別のチーム構成だったが、現在は製品カテゴリーごとの事業部制へと移行している。これは、製品カテゴリー(充電器・オーディオ・スマートホームなど)ごとに、ECセールス、リテールセールス、市場参入などの各機能を配置する縦割り組織だ。

この変革の理由は、カテゴリー/ブランドごとに注力すべきチャネルやポジショニング、アプローチのタイミングが異なるからだ。チャネルを横断して事業全体を見る責任者を立てることで「チャネルの優先度や投資のバランスを正しく判断できるようになった」と芝原氏。また、マーケティング組織は別で置いており、各事業部と連携しながら戦略策定や施策を実行している。
機能別の組織では、どうしても各チームが自身の数値を追う「部分最適」に陥りやすい。しかし、カテゴリー別の責任者を置くことで、短期的な利益率が高いオンラインに偏ることなく、中長期的な市場規模を見据えたオフラインへの投資といった「全体最適」の意思決定が可能になる。「今の体制がこれからもずっと最適であり続けるかはわかりません。企業のフェーズに合わせて、組織を柔軟に変えていけることが成長の条件」と芝原氏は述べた。
