「価値観の当たり前」を思いっきり外す
2つ目のカテゴリーは、Z世代が持つ価値観の「当たり前」を覆す広告です。従来の固定概念にとらわれず、新しい選択肢を肯定することで、「自分たちの価値観を理解してくれる」という信頼感を生みます。
選択固定概念打破
固定概念にとらわれない選択を肯定する広告です。最近のZ世代は、キャリアにおける「転職前提の考え方」や、美容における「プチ整形」など、従来の固定観念にとらわれず柔軟に生き方を選んでいます。大人たちが築いてきた固定概念を覆すような選択を企業が肯定すると、強い共感が生まれます。
ジップロックの新しい可能性を提案するCM。ジップロックを財布として使用する人とそれを肯定する人の姿を描き、「財布は革製品」という固定概念を覆す提案している。
試行錯誤自分発見
試行錯誤を通じて自分を模索する過程を描いた広告です。骨格診断やMBTI診断の流行で、Z世代は自分を「型」に当てはめ、そこから外れることに不安を感じる傾向があります。従来の広告は「自分らしさを出せ」といった一方的なメッセージでは、Z世代の共感を呼ぶのは難しいものですが、自分らしさを模索する過程や変化の過程を可視化することで、自分ごととして捉えてもらえて、本当の「らしさ」を考え直すきっかけになる傾向があります。
KATEが様々な高校にメイクの出張講義を実施。「メイクにも自分らしさにもルールはない」をテーマに、学生が今まで使ったことのない色や塗り方で自由にメイクすることで、自分らしさを見つける過程を描いている。
新視点可視化
新しい視点の存在や、それを見つける喜びを示す広告です。SNSのアルゴリズムに慣れたZ世代は、自発的に新しい視点を得るという発想になりにくい環境にあります。広告によって、新しい視点の存在とそれを見つける喜びを示されることで、自らの視野の狭さに気づき、新たな視点を獲得したくなる傾向があります。
お笑いコンビ・空気階段を起用した新CM。朝日新聞アプリを読む"かたまり"の"分身"が増えていくユーモラスな演出を通じて、情報に触れることで自分の引き出しが増えていく体験を可視化している。
「新しい効果の可視化」を試みる
3つ目のカテゴリーは、従来の商品効果の描き方を大きく外した広告です。ルッキズムへの配慮や、情報過多への対応など、現代ならではの工夫で商材の魅力を伝えます。
オジオバコスメPR
年配者をコスメの広告に起用することで、商材の効果を信用してもらう手法です。Z世代は、同世代のインフルエンサーによる化粧品広告に対して、「そもそもの素材の良さ」や「フィルター加工によるごまかし」を理由に不信感を抱きやすい傾向があります。肌質などの加工をしていないことが明らかな年配者が効果を出している様子は、より信頼できるのです。
おばあちゃんがリッププランパーを紹介するPR動画。「お友達と30年ぶりにプリクラを撮る日」「"すきぴ"に告白する日」という若者らしいシチュエーションの中で商品を使う様子を描いている。
人消し広告
わざと人を映さずにルッキズムを避ける広告です。容姿の印象が商材に影響を与える業界(美容、ファッション、マッチングアプリなど)では、起用されるモデルの容姿に気を取られ、商材本来の魅力が伝わりにくい場合があります。あえて人の姿を入れないことで、商材そのものの良さにフォーカスできます。
マッチングアプリ「with」のキャンペーン。アンバサダーを務める芸人6人の好きなものや趣味、考え方などの価値観が表現された「文字だけ」の看板広告を展開。顔を出さないことで、内面的な価値観にフォーカスしている。
継続は力なり想像
大人が地道な努力を重ねて結果を出す姿を描いた広告です。タイパを重視し、効率よく成果を得ようとするZ世代は、何事も習慣化することを難しく感じがち。しかし、年を重ねた人が地道な努力で結果を出している姿を見ると、「やっぱり努力は大事なんだ」とモチベーションが高まります。
幼少期からつま先立ちに夢中だった屋代まどかさんが、49歳で子育てを終えたことをきっかけにロボットダンスを始め、わずか2年後の50歳で全国大会優勝を果たした実話を描いている。「何歳からでも自分の好きなことに夢中になれる」というメッセージを込めた。
一文字商材要約
商材を理解しやすい「一文字」で要約する広告です。SNS利用時間が長いZ世代は、情報過多の社会に疲れています。伝えたいことが一文字に凝縮されていると、受け取る情報量が少なく、記憶に残りやすいのです。
漫画家・イラストレーターのあらゐけいいち氏が手がけたパスタソース「パ・キット」のCM。一文字(パ)の繰り返しによるリズムが調理の手軽さを体現している。
