(2)コンテンツ制作・広告ROIの改善:コスト削減を超えた質的パフォーマンス向上にもAIが寄与
コンテンツ制作と広告出稿のプロセスにおいても、AIによって大きな構造変化が起こっています。「人間が手を動かす時間の減少」と「人とAIのハイブリッド型モデルによる戦略・コンテンツ質の向上」が高いROI(投資対効果)とエンゲージメントを生み出している実例が、2025年以降多数報告されています。
コンテンツ制作プロセスでは、企画~ライティング・撮影というフローのほぼすべてをAIが代替可能になり、工数的な制限がなくなったことで大量のコンテンツ生成が可能になりました。
黎明期のAI生成物は、いかにもAIっぽく、人が作ったものと比べて圧倒的にクオリティが低いイメージもありましたが、劇的にAIの機能が改善したことで、手直しなしで問題ないほどのコンテンツ・クリエイティブを作れるようになっています。
さらに先端企業では、大量のユーザーデータをソースとしてAIに学習させることで、ペルソナ理解を深めて独自性・ブランドマッチ度の高いコンテンツを目指したり、本番のコンテンツ投下前にAIで仮想ユーザーインタビュー・A/Bテストを行うことでPDCA速度を上げたりといった、コスト削減ではなくパフォーマンスをさらに上げるためのAI活用も実践されています。

(3)ブランド信頼の毀損リスク:AI回答の「不確実性」と向き合う
AIによって劇的に業務改善があった一方で、リスク対応という新たな仕事が増えたのもまた重大な変化でしょう。
AIが生成するコンテンツには、「A:自社の管理内で意図的に作るもの」と「B:AIプロダクトと消費者の対話の中で生成されるもの」があります。
「A:自社の管理内で意図的に作るもの」には、オウンドメディアの記事や広告クリエイティブ、PRドキュメントなどが含まれます。これらの作成フローにAIを活用することはもはや常識化していますが、ハルシネーション(AIがもっともらしい嘘をつくこと)や著作権侵害のリスクがあり、必ず人間が監督する必要があります。
また「人間が作ったもの」への回帰現象が起き、AI生成コンテンツを隠して使用することへの反発が強まっているとの見方もあります。コンテンツの生成過程でのAI活用をどのように消費者に開示していくかということも、テーマとなっていくでしょう。
「B:プロダクトと消費者の対話の中で生成されるもの」には、GoogleのAI OverviewsやChatGPTなどでの回答内容が含まれます。AIの生成したテキストの中で間違った電話番号が表示される・公式ではない情報が公式のような見え方で表示される・誤ったメッセージがそれらしい形で表示されるなど、自社の与り知らぬところでブランディング毀損が起こるケースがあります。
これらの内容はすべて当社に実際にご相談いただいたケースで、ひどい場合にはカスタマーセンター業務に支障をきたすといった損害につながっているものもありました。
Aに関しては、マーケティングチーム(場合によっては全社・全部署)にて、AI活用コンテンツにおけるリスクを防止するための役割を設けるのが効果的でしょう。社外に出す際のルールや確認フローを定めることはもちろん、場合によっては企業の存亡にもつながるような危険性をはらんでいるということを、メンバー全員がしっかりと理解することが重要です。
Bに関しては、網羅的な対応が難しいのが現状です。ただ、AI対話において自社が言及されているデータの収集・内容の問題の有無のチェックを行うことである程度の対策は可能で、特に信頼性が重要な医療・金融などの業界ではその体制構築への本格投資をスタートしている事例があります。
