MOM導入の成果~マーケティング×営業の連携が強固に~
MOMの導入成果は、商材特性の異なる3事業それぞれで表れた。
まず、電子部品領域では、リソースの制約がある中、戦略とプロセスの標準化により効率的に欧米市場の新規開拓を実現。その結果、獲得案件数は年平均成長率(CAGR)+50%、海外案件比率はCAGR+12%という成果を叩き出した。BIツールによるダッシュボード化により、マーケティング施策の費用対効果が可視化され、戦略的な予算配分が可能になったことも大きい。
次に、機能樹脂領域では、これまでウェブからの問い合わせを転送するのみだった営業連携プロセスを刷新。特定セグメントでSLA(サービスレベル合意)を策定し、マーケティングと営業が一体となって「リードの質」を追求する「レベニューチーム」へと進化した。この取り組みにより、年間の新規案件獲得数のうち40%がマーケティング起点に。事業成果への直接的な貢献を定量的に示すことで、営業とマーケティングのアライメントに成功した。
さらに、建築材料領域においては、営業拠点ごとにバラバラだった活動を、共通のKGIである「高断熱仕様の案件数」に基づく活動として集約した。さらに将来の収益拡大を見据え、ターゲット顧客の獲得・育成状況を一元管理できる基盤を整えている。いずれの事業においても、従来の「施策の実行量」ではなく、「案件獲得」という事業成果に直結する指標での運用が定着した意義は大きい。
プロジェクト成功のポイントは「体系化」「仕組み化」
プロジェクト成功の要因はいくつかあるが、特筆すべきは「体系化」「仕組み化」に向けた施策だ。
ポイントは、業務の「動き方」だけでなく、その背後にある「なぜそうするのか」という「考え方」や基礎知識までを明文化し、体系化したこと。フレームワークを組み込んだこのプレイブックにより、誰であっても高い品質の活動を再現できる仕組みを整えた。
また、最も困難とされる「営業の行動変革」に対しても、粘り強いアプローチを徹底した。営業にとってのメリットを丁寧に説き、ターゲット設定の段階からプロジェクトに巻き込むことで、「営業と一緒に作り上げるプロセス」を確立していったという。
同社は今後、この確立された「仕組み化・標準化」のノウハウをグループ全体へ横展開し、AIを活用したパーソナライゼーションの自動化や、企画・開発・ITをも統合した「レベニューオペレーションモデル(RevOps)」の構築へとフェーズを進めていく。
「マーケティングが変われば、事業が変わる」。旭化成の挑戦は、複雑な組織構造を持つBtoB製造業において、マーケティングを単なる支援部門から、売上を生み出す中核機能へと昇華させるための道標となるだろう。
