単に「上位表示を取る」発想は通用しない
──マーケティングが構造的な変化を遂げる中、新たなマーケティング手法としてLLMOがスタンダードになりつつあるとうかがいました。
LLMOとは、AIに自社のブランドを適切に推奨してもらうための最適化手法です。ChatGPTやGeminiなどのチャットツールだけでなく、Google検索の「AI Overviews(検索結果の上部に表示されるAIの要約)」や「AIモード(質問に対してAIが直接要約した回答を生成する検索機能)」なども対象となります。AIが学習し、回答を生成するプロセスを理解した上で、自社の価値が正しく伝わるように情報を整理・翻訳・統制していく活動を指す言葉です。

──従来のSEOとLLMOでは、具体的に何が違うのでしょうか?
SEOは「勤怠管理ソフト おすすめ」のように、特定のざっくりとしたキーワードに対してアルゴリズムを分析し、自社サイトを上位に表示させる必要がありました。一方、LLMOが向き合う生活者のニーズは、それよりも100倍、1,000倍と細分化されています。
たとえば「従業員40名の町工場を経営しており、社内の勤怠をクラウドで管理したい。予算〇〇円で、専門知識がなくても初期設定が楽なものが良い」といった具体的な相談がAIに投げられます。これに対してAIは、膨大なデータの中からその人にぴったりのものを一つひとつ推奨します。そのため、単に「上位表示を取る」という発想は通用しません。自社の想定顧客は誰で、その人が何を求めており、自社にどのような独自価値があるのか。つまり「ブランド価値」そのものが問われるようになります。
求められるブランドマーケ×パフォーマンスマーケの総合力
──LLMOがスタンダードとなる世界でマーケターが価値を発揮し続けるためには、どのようなスキルセットやマインドセットを身に着ければ良いのでしょうか?
従来の「人」に向き合うブランドマーケティングの思考と、プラットフォームの「アルゴリズム」に向き合うパフォーマンスマーケティングのスキル。この両方が必要になります。これからは「人に届けるために、逆説的にAIに届ける」という思考が不可欠です。AIは人間の思考にどんどん近づいているため、結局は「本質的に良いものとは何か」を突き詰める総合力が求められるようになります。
──LANYではLLMO支援にフルコミットしているとうかがいました。その理由を教えてください。
「ロマン」と「そろばん」二つの観点で理由を整理しています。まずロマンの側面では、創業以来のミッションである「価値あるものをインデックスさせる」を達成するためです。これまでのWeb広告やSEOの世界は、資本力のある企業が勝ちやすい構造になっていました。しかしLLMOは、AIがブランドの真の価値を深く理解し、必要としている人とマッチングさせる世界を実現します。本当に良いプロダクトが正しく選ばれる。そんな“優しい世界”を作れる可能性に賭けているんです。
そろばんの側面では、市場の急成長が大きな理由です。LLMO(またはGEO/AIO)に関連する市場規模は、2034年で5兆円に達するという予測もあります(出典:Dimension Market Research『Generative Engine Optimization (GEO) Market』)。かつてマスコミ4媒体の広告費をWeb広告が追い抜いたときのような地殻変動が今、AIによって起きようとしているのです。私たちはこの領域で圧倒的なトップランナーになり、時代の初動を取りに行きたいと考えています。

