多重接触で顧客を離さない「一気通貫」の売り場設計
トライアルは、データ活用にも積極的だ。「MD-Link」と呼ばれる独自のビッグデータ基盤も抱えている。自社の購買データやアプリ会員データ(1stPartyデータ)のみならず、スギ薬局を含む他社データ(3rdPartyデータ)も収集の上、活用可能な状態に加工・集計し、高精度なターゲティング配信を実現しているのが特徴だ。
既に280社ものメーカー・卸売企業がプラットフォームを活用し、リテールメディアでの広告配信を実現している。
サイネージにもデジタルにも強みを持つトライアルは、ブランド認知から購買までの「一気通貫型マーケティング」を叶える企業といえよう。
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「ポイントは“多重接触”です。まずは店舗入口(風除室)などのサイネージでお客様の視界に入れ、アプリで興味を醸成。オウンドメディア『くらしトライ』で比較検討をサポートし、購買後はレシートクーポンでリピートを後押しします。マイレージキャンペーンを実施すればファンを育てることも可能でしょう。すべてトライアルの中で完結する、自然で統合的な購買体験を提供できるのです」(野田氏)
店内のサイネージ設置箇所にも、効果最大化のための工夫が凝らされている。すべてのお客様が通る入口である風除室には、6面をつなげて1つの映像を映し出す大型サイネージを設置。店内の折り返し地点となる場所には、「買い忘れはありませんか?」と訴求する縦長・横長パネルで買い回りを促進する。また、まるでJR品川駅のコンコースを彷彿とさせるような、同じサイネージが連続設置・同時放映されている場所もある。
このように徹底的な“多重接触”によって、店内で購買という意思決定を強力に後押しするのが、トライアル流のインストア戦略だ。
トライアルが考える「売れる店」の定義
ここで野田氏は、「『売れる店』とは、『買ってよかった』という体験を積み上げ続ける店である」と定義した。特に、日用品購入の80%を占めると言われる「非計画購買」をいかに動かすかがカギとなる。
「たとえば、昔からよくあるスーパーの店内放送は、売上が悪いときに非計画購買を促す定番手法のひとつです。リテールメディアにおいては、8割を占める非計画購買をポップとサイネージで動かしていきます。この静と動の組み合わせが、人間の本能を刺激するのです」(野田氏)
買い物という行動は、元々は人間が生きていくに不可欠な「狩猟行動」にルーツを持つ。だからこそ人間は買い物を、本能的に「楽しい」と感じるのだ。しかし、膨大に選択肢が増え、多様化が進む現代において、お客様は本当に欲しい商品に出会えているか、満足して購入できているのかは、大きな課題となっている。
「私たちはその課題に対して、いつでも安く買える商品ラインアップ(EveryDay Low Price)で安心感を提供しつつ、新たな商品と出会えるプロモーションや棚創りで、“買ってよかった”と思ってもらえるような購買体験を提供しています。また、賛同いただけるメーカー様と協力し、一緒にPDCAを回しているところです」(野田氏)
