企業主語のマーケティングになっていないか?
両社は、様々な業種の企業とショートドラマを活用したマーケティング施策を実施している。仲子氏によると、企業から寄せられる相談は主に2種類に分けられる。

一つは、テレビCMの施策を中心に実施してきたため、若年層にリーチできていないケース。もう一つは、デジタル施策を中心に実施してきたものの、成果が頭打ちになり、指名検索やブランド認知の向上を模索しているケースだ。どちらのケースも、大きな課題は「若年層向けのブランドマーケティング」にある。
若年層向けのマーケティングにおいて多くのマーケターが悩むポイントを、仲子氏は次のように挙げる。
・テレビ離れによってマス広告の成果が出ない
・デジタル広告を見てもらえない、スキップされる
・自社でSNSを運用してもバズらない
・インフルエンサーを活用したマーケティングは自社でコントロールしづらく、単発で終わってしまう
これらの悩みには、企業が自分たちの見せたいものを見せようとする「企業主語の広告マーケティング」を続けてきた背景があるという。
「企業が広告枠を購入して見せたいものを見せる手法から、生活者が見たいコンテンツを届ける手法に転換する必要があります。生活者や消費者を主語にした、コンシューマーファーストのコンテンツマーケティングを考えていくことが重要です」(仲子氏)
「どれだけ届いたか」を示す5倍のいいね数
では、若年層が「見たい」コンテンツとは何か。仲子氏は、Z世代の情報消費行動を表すキーワードとして「5S」を提唱している。
SNSのコンテンツは日々増加しており、若者らは短い動画を数多く見る傾向が強い。そのため、短い時間で強烈に引き付ける要素が必要だ。また、壮大なテーマよりも身近なものに共感して友人らに共有する傾向も強まっているという。学校で「これ見た?」というやりとりが交わされるため、トレンドをみんなと同時に知っておく必要もあるそうだ。
「短い時間で見て、その内容に強く共感することで誰かに伝えたくなる──この流れを循環させ、ユーザーが常にトレンドの最先端にいる状態をつくることが重要です。短いストーリーによって訴求する縦型ショートドラマは、若年層向けのマーケティングと相性が良いと言えます」(仲子氏)
実際に、ショートドラマのコンテンツはどのくらい若年層に届くのか。TikTokにおいて、広告動画を配信したケースと、ショートドラマをオーガニックで配信したケースを比較したところ、再生回数では広告動画のほうが圧倒的に多かったそうだ。しかし「いいね」の数はショートドラマが広告の5倍以上、コメント数やいいね率もショートドラマが圧倒的に勝っていたという。
「見たいと思わないものを見せられたのか、見たいものを見たのか。大きな差として表れています。『どれだけ流したか』ではなく『どれだけ届いたか』が重要です」(仲子氏)

