必ず用いる!ネスレ日本流の調査設計書フォーマット
架空の紅茶飲料ブランドAでは「若年層への認知拡大」を目的に、ジャンキーな炭酸飲料ブランドQ社とのコラボを検討中だ。しかし、Q社のブランドマネージャーは「ブランド間の顧客層の違い」に懸念を示している。予算制限によって外部調査の実施は困難だとしよう。

そこで「このコラボには価値がある」とQ社に納得してもらうために、判断材料を揃える目的でソーシャルデータの分析を行う。近藤氏は「1.カテゴリーの親和性」「2.ブランド選定の妥当性」「3.客層ギャップの接続可能性」という観点でコラボの妥当性を証明するという。
調査設計にあたっては「『何を証明すべきか→何を明らかにすべきか→そのためにどんな仮説を立てるべきか』の流れで整理するのがポイント」と近藤氏。今回のQ社とのコラボ価値を実証するための調査設計を1枚のシートにすると、下図のようになる。

シートを見ると、3つの証明すべきことに対して8つの明らかにすべきこと(仮説)が挙げられている。
「私は調査テーマの難易度・規模にかかわらず、必ずこのフォーマットを使って思考を整理するようにしています。分析者の思考を可視化して論点を整理できるため、課題の本質を捉えたアウトプットが難しい方には、こういったフォーマットの活用をおすすめします」(近藤氏)
明らかにすべき仮説が決まったら、実際にソーシャルデータを分析して検証していく。近藤氏は、今回の8つの仮説に対して6つの分析方法を紹介する。
メソドロジー1
1つ目の分析では「カテゴリーの親和性」「ブランド選定の妥当性」を検証する。ブランドAとQ社の商品の特性は異なるが「“リフレッシュ”は共通の目的ではないか」という仮説を立案。この仮説に沿ってSNSの投稿を収集し、若年層かつ喫食者の投稿を絞り込む。その後にオケージョンを分析し、両カテゴリーで想起されているシーンや価値を比較する流れだ。
オケージョン分析では、投稿の頻出単語を名詞・動詞・形容詞の品詞別に分類し、並び替える作業を行う。これにより、名詞であれば「休憩」「朝」といったシーンにまつわる言葉が、動詞であれば「温める」「冷やす」といった飲み方に関する言葉が観測できる。また形容詞からは、消費者の気持ちや感想、評価を理解できるという。
メソドロジー2
2つ目の分析は、ブランド選定の妥当性を評価するために「数あるブランドの中でなぜQ社なのか」を裏付ける分析だ。これに対して近藤氏は「ブランドAとQ社が互いの強み・弱みを補完し合うことが証明できれば理想的」という仮説を立てる。そして、メソドロジー1で抽出したワードを以下の4象限で整理する「オケージョン×センチメント分析」を行っていく。

「Q社のネガティブに『罪悪感』『体に悪い』といった不満の割合が多いことを確認できたら、ブランドAの持つ『ナチュラル』という価値が非常に大きくなる」と近藤氏は考察する。

