長期施策の測定を歪める「5つの阻害要因」と正しい測定法
長期施策の効果を「正しく」抽出するためには、測定値を歪める要因(バイアス)を理解し、それを除去するロジックが必要だ。実務において、特に以下の5つが大きな障壁となる(図表3)。
(1)他施策の影響(自社・競合の並行施策)
(2)時間経過による効果・認知の減衰(広告を忘れてしまう)
(3)季節の影響(自然な需要増減)
(4)パネル特徴の影響(回答者入れ替えによる結果のばらつき)
(5)関与バイアス(施策によって好きになるのではなく、好きだから気づくという逆因果)
これら5つの要因をどう抑え込み、純粋な効果を導き出すのか。実務で活用できる3つのアプローチを紹介する。
【手法1】タイムCM・固定枠には「ログベース定点調査」
タイムCMや固定枠で出稿し続けるデジタル広告は、「どこに、いつ出たか」が比較的明確だ。ここでは“広告認知(覚えている)”ではなく、“広告接触(当たっている)”をログに基づいて群分けする方法が最適である。これにより「関与バイアス(阻害要因5)」を明確に抑制できる。
調査間隔を短くして繰り返すことで、「効果減衰や忘却(阻害要因2)」の影響も小さくできる。また番組枠別に効果を明確に比較しやすく、「どの枠が効くか」「継続出稿していくべきか」などの判断をサポートできる。
【手法2】協賛・オウンドメディアには「長期シングルソースパネル調査」
スポーツスポンサーやネーミングライツ、オウンドメディアやSNSの継続発信は、施策への接触をログベースでは測れないものも多い。これらのケースで有効なのが「長期シングルソースパネル調査」だ(図表4)。
同一の回答者に対して調査を継続するため、「回答者入れ替えによるブレ(阻害要因4)」を抑えられ、先述の2地点シングルソースパネルのネックである期間の壁も、短い間隔で測ることで解消され、「効果減衰や忘却(阻害要因2)」にも強くなる。もちろんシングルソースであるためDID法による効果検証が可能となり、「季節要因(阻害要因3)」や「他施策影響(阻害要因1)」など外部要因を排除することができる。
さらに分析では、過去の調査結果を組み合わせることで、モニターを「新規認知者」と「継続認知者」を判定し、分けて効果を検証することもできる。新規認知者をどれほど獲得できたのか、新規認知者へ新たなブランディング効果を果たしているのか、はたまた継続認知者にはリマインド効果が続いているのか、など、長期施策で狙いたい効果を分解することができる。
