一発のバズで動かない男性こそ、段階的な施策設計が肝になる
MarkeZine:男性をターゲットにしたUGC施策は難易度が高い印象があるのですが、実際どうなのでしょうか?
大川:そうですね。男性は一時的な話題性よりも、信頼できる情報に基づいて商品やブランドを選ぶ傾向があるため、中長期的な接点を持ち、生活シーンの中でいかに自分ごとにしてもらえるかが重要となります。
MarkeZine:ウィングリットはシック・ジャパンの課題を受け、どのような施策を設計しましたか?
成富:プレミアム価格帯かつ、販路が限定的な製品であることを考慮し、「シェーバーを購入したい層」ではなく「自分を整える時間に価値を見出す層」をターゲットに設定して、施策を組み立てました。UGCの起点となるインフルエンサーとのタイアップ施策もフェーズに応じて段階的に、まずは30~40代男性の信頼獲得、その後は代理購買やギフト需要も見据えた人選へと拡張しています。
難易度高、男性インフルエンサーの起用のポイント
MarkeZine:男性向けと女性向けでは、インフルエンサーのキャスティングで意識すべき観点も変わるのでしょうか?
成富:はい、「量」と「質」のどちらを優先するかという戦略の軸が大きく異なります。
ケースバイケースという前提はあれど、女性の場合は自己表現性が高い傾向にあり、SNSの接触頻度も多いので、UGCが売上に直結しやすいです。そのため、投稿の「量」で多方面からリーチを広げていき、話題化の波を作る設計が定石です。
一方、男性の場合はSNSでの発話が女性に比べると少ない傾向にあるため、まずは「語っても違和感のない空気」を醸成することがポイントであると考えています。信頼できる人物やメディアからの「質」の高い推奨を段階的に増やし、中長期的に信頼を積み上げる設計が特に有効となります。
MarkeZine:なるほど。男性の場合、そもそもの母数が女性インフルエンサーと比べて少ないのに加え、さらに“質重視”となると、キャスティングも難しそうですね。
成富:ええ、パイが限られる中で影響力のある人物を選定する必要があるため、難易度は高いです。「信頼」を生むためには、文脈の違和感を徹底的に排除しなければなりません。
たとえば、どんなにフォロワー数が多かったとしても、ヒゲ脱毛をしている人にシェーバーの依頼をしてしまっては、今回の文脈は成り立ちませんよね。特に男性向け商材では、リサーチに時間を費やし、ソーシャルリスニングをかけながら、ブランドの世界観に合致するインフルエンサーをシビアに選定するようにしています。
MarkeZine:ブランドの世界観を守るため、UGCコンテンツに関して注意していることはありますか?
大川:インフルエンサーを起用する場合は、基本的にその方の個性やアカウントの文脈を活かしていただくことを大事にしています。一方で、シック・ジャパンは「Make beauty grooming joyful」というパーパスを掲げており、各種コミュニケーションもこのパーパスを具現化するような、お客様をワクワクさせるものであるべきと考えています。
たとえば、「ムダ毛」のようなネガティブに感じる言葉を極力使わないのもこだわりのひとつです。ウィングリットさんはこうした会社としての理念やこだわりの部分を理解した上で、ブランドごとのトーンの違いを踏まえた設計をして下さるので信頼しています。

