特別な体験プログラム、デバイス…美と健康をつなぐ実践
事例2:Estée Lauder――睡眠は美容に
Estée Lauder(エスティ ローダー)は、睡眠研究で知られるウォーカー博士を、ブランド初のグローバル・スリープ・サイエンス・アドバイザーに任命しました。これにより、夜のスキンケアと睡眠の研究を結びつけ、肌の回復と睡眠の質の関係について科学的に発信しています。
ここで美容液は、ただの化粧品ではありません。眠っている間の回復を助ける「ナイトプログラム」の一部として考えられています。つまり、美しさはスキンケア商品だけでつくられるのではなく、睡眠とも深く関係している、という考え方です。スキンケアは表面を整えるだけでなく、体のリズムそのものを整えるものへと広がっています。
事例3:Gucci × Oura Ring――健康データが新しいステータスに
Gucci(グッチ)は、健康管理デバイス「Oura Ring」とコラボした特別モデルを発売しました。この指輪型デバイスは、心拍数や体温、睡眠の質などを測定し、自分の体の状態をデータで確認できます。
これまで高級ブランドは、宝石やレザーのような「目に見える豊かさ」を象徴してきました。しかし今では、自分の健康状態を理解し、日々管理できること自体が、新しい洗練や豊かさとして見られるようになっています。健康データを持つことが、一種のステータスになりつつあるのです。
事例4:Dior × Belmond――旅行もセルフケアに
Dior(ディオール)は、豪華列車ベルモンド・ロイヤル・スコッツマンと提携し、車内でウェルネス体験ができる特別なリトリートを実施しました。このプログラムは3泊4日にわたり、エステだけでなく、ピラティスやマインドフルネスも組み込まれています。
ここで提供されているのは、単なる豪華な旅ではありません。旅行の時間そのものを、心と体を整える「セルフケアの時間」としてデザインしている点が特徴です。ラグジュアリーは、ただ贅沢を楽しむものではなく、自分を最高の状態に整える体験へと広がっていることを象徴する事例です。
科学とテクノロジー。それが変える「美しさ」の基準
こうした動きから見えてくるのは、「美しさ」の意味が健康に近づいていることです。Havasの調査でも、多くのプロシューマーが「健康こそが美しさに直結する」と考えており、「美容製品を買うよりも、ウェルネスに関する活動にお金を使いたい」と答えています。
その背景にあるのが、科学とテクノロジーの発達です。睡眠時間、栄養バランス、疲労の回復度などがアプリやデバイスによって見える化され、今まで感覚的に語られてきた美が数値として確認できるようになっています。
このように、これからの美しさは、見た目を飾ることよりも、心と体の状態を整えることに重きが置かれていくでしょう。現代において美しさは、健康そのものと深く結びついているのです。
