「勘や経験に頼らない」OOHプランニングをどう実現したのか?
MZ:今回実施した取り組みについて、どのようなプランニングを行ったか教えてください。
中村:元々、森永製菓さんが「inゼリー」以外のブランドでインバウンド向け施策に取り組まれていることをふまえ、訪日旅行者の人流データという強いアセットを持つナビタイムジャパンさんと組む形で、今回の協業体制を提案いたしました。
プランニングでは、当社の持つ位置情報データに加え、ナビタイムジャパンさんから提供いただいた訪日旅行者の人流データを活用。旅行者が多いエリアや時間帯を分析した上で、適切な出稿エリアとスクリーンを検討しました。
田村:人流データの提供に活用した「Japan Travel by NAVITIME」は、訪日旅行者のうち同意をいただいたユーザーのGPSデータを2分間隔で取得し、アンケートで国籍や訪日回数も取っているため、エリアごとに「どの国籍の旅行者が多いか」「新規かリピーターか」まで把握できます。
今回の施策では、125メートルのメッシュで区切り、フリークアウトさんから事前にいただいた出稿候補地の周辺人流をまず調べました。月間・年間の推定旅行者人数を算出しつつ、30分ごとに滞在状況を判定。時間帯別の多寡を、1時間単位のグラフで可視化しました。
中村:具体的には、渋谷と浅草にエリアを絞り込みつつ、ナビタイムジャパンさんとさらに詳細なデータ分析を行ったうえで出稿スクリーンを選定。予算配分も、データを踏まえつつ時間帯によって配信量を変えながら設計しました。
デジタル施策同様に、ロジカルな効果検証を
MZ:プランニング以外に、計測も大きな課題だったとお話がありましたが、どのように進められたのでしょうか。
中村:効果の計測には、該当エリアにある店舗のPOSデータを用いています。ステップとしては、まず対象店舗を距離ごとにラベル分けしました。具体的には、「配信地点に最も近い店舗群」「少し離れた店舗群」さらに効果把握のための「遠距離店舗群」などに分類しています。
「配信地点に近い店舗ほど、広告接触後に行動変容=購入が起きやすい」という仮説を立て、ラベルごとの差分を見る形で検証しました。
MZ:プランニングから計測までの一連について、森永製菓としてはどうお考えですか。
太田:今回の取り組みの目的は、データに基づく広告配信で「inゼリー」の訪日旅行者からの購入を促し、売上増加につなげることでした。その実現に向けて魅力的だったのが、施策の実施前にデータを根拠に「どの面で、どの時間帯に出すか」を設計できた点です。
人流が多い場所に予算を絞り、効果が出やすい時間帯に厚く配信する。デジタル広告では当たり前に行ってきた考え方を、オフライン施策であるDOOH(Digital Out of Home)でも実現できるのは大きかったですね。
加えて、施策後の効果検証までセットで設計できたことも実施の決め手でした。配信後のレビューで、想定していたシミュレーション通りの動きが確認できたときは、正直感動しましたね。ここまでロジックに沿ってOOH施策の振り返りができたことに意義を感じましたし、検証を行うことで次の施策に向けた改善点を発見できます。
広告投資をする以上、私たちブランド担当者は社内への説明責任があります。その点で考えても、データを元にしたプランニングから効果の可視化まで、社内説明も行いやすい施策設計だと感じました。

