ポイント(2)ヒト軸・モノ軸で考える
インフルエンサーには「ヒト軸」と「モノ軸」の2軸で整理するとわかりやすいと川上氏は語る。UGC施策でインフルエンサーを起用する際には、ユーザーが求めているのはどちらの軸なのか、商材やフェーズに応じて見極めることが重要だ。
「ヒト軸」は、芸能人や有名YouTuberなど、顔や名前が広く認知されていて、ファンから「その人」のパーソナリティが見えるコンテンツや発信を期待されているインフルエンサー層。詳しい情報解説というより、その人が使っていることや愛用感を発信することが重要で、著名人による「マストレンド感やお墨付き感」などを醸成していきたい場合に有効でもある。
一方で「モノ軸」のインフルエンサーは、ユーザーにとってわかりやすい商品紹介や、専門的な情報解説などを得意とする層だ。たとえば「美容」「ガジェット」といった特定領域で深い知識を有し、強い影響力や権威性をもつことが強み。顔と名前が一般に広く認知されているとは限らないが、ユーザーは発信されるコンテンツの「情報」を求め日々フォローしている。
「著名なタレントほど知名度のない『モノ軸』のインフルエンサー投稿でも、むしろその専門性の高い情報が支持され、広告配信でブーストをかけてみると、高い効果を発揮するケースがあります。UGCにおけるキャスティングの際は、『メジャーか』『タレントか』といった目線だけでなく、この2つの軸を意識してみてください。誰が発信するかで、ユーザーに届く情報の切り口も粒度も変わるはずです」(川上氏)
ポイント(3)知識の階層構造の有無を捉える
続いて川上氏は「フォロワー数が多いからトップインフルエンサー」というありがちな認識を指し、「これを定義と考えて本当に良いのでしょうか?」と問いかける。
「たとえば、業界の権威でありながらSNSを始めたばかりでフォロワーの少ない専門家がいたとします。その人をただフォロワー数で整理し『マイクロインフルエンサー』と括ってしまっていいのでしょうか? 特に専門知識が重視される商材において、フォロワー数以上に重要なのは、ジャンルにおける情報の深さや専門性、信頼性であるべきでしょう」(川上氏)
とはいえ、すべてのUGCに専門性が求められるわけではない。そこで川上氏は、商材を「高関与商材」と「低関与商材」に分けて説明した。
「高関与商材」は、生活者が入念な情報収集や比較検討をする商材。スキンケアやヘアケア、高価な家電、車、家などが例に挙げられる。購買に慎重になっている生活者は、情報の信頼性や専門性を強く求めるだろう。この領域で重視されやすいのは専門性の高いインフルエンサー。その道に精通した専門家や、深い知見を持つ業界のトップランナーによるUGCが「お墨付き」として機能し、購買を後押ししていく。その後、マスに拡大していきたいフェーズには、ピラミッドの下層に位置するタレントや有名インフルエンサーをキャスティングすることで、幅広く一般層への浸透が期待できるだろう。
このように、ウィングリットでは情報選択における専門知識の有無に応じて、目的や役割に応じてインフルエンサーをピラミッド構造に分類している。これにより、見かけのフォロワー数やいいね数に惑わされず、ターゲットやフェーズに応じた施策を考案できているという。
ただ、飲料や日用品などの「低関与商材」は、このピラミッド型のロジックが同じく当てはまるとは限らない。低関与商材の購買行動において、生活者はそれほど深い知識を求めていないからだ。たとえば、低関与商材でのUGC戦略のコツの1つは、「今、この瞬間話題の人」のファンダムを捉えられるか。話題を生むためには、あちこちの界隈でホットなインフルエンサーを継続的に起用し続けることがカギとなる。
高関与商材と低関与商材で戦略設計や人選戦略のあり方は大きく変わる。取り扱う商材がどちらのパターンか、まずは整理してから戦略を練っていくのが望ましいだろう。

