同予算でも高いインパクトへ。インフルエンサー選びの正しい指標
──では、インフルエンサーマーケティングで追うべき正しい指標とは何でしょうか。
北出:エンゲージメントです。いいね・保存・コメント・シェアといったアクションは、その投稿を見て実際に反応したことの証明です。ただ知ってもらうのではなく、興味を持って知ってもらうことがインフルエンサーマーケティングの最大の価値であり、それを正確に測れるのがエンゲージメントだと考えています。
──エンゲージメントを最大化するには、どのようなインフルエンサーを選ぶべきでしょうか。
北出:データを見ると、数千〜数万フォロワーのナノ・マイクロインフルエンサーが最もエンゲージメント率が高い傾向にあります。先述のとおり、フォロワーが増えるほど、投稿への関心が薄い人も混在するため、エンゲージメント率は低下していくためです。
実際に15万フォロワーと2万フォロワーのインフルエンサーがそれぞれ投稿した結果、エンゲージメント数は同等だったというケースも珍しくありません。同じ予算なら、フォロワー数の多いインフルエンサー1人よりも、マイクロインフルエンサー複数人に依頼したほうが、相対的なインパクトははるかに大きくなります。
AI時代だからこそ「信頼している人の言葉」の価値が高まる
──AIの進化がマーケティング全体を変えている中で、インフルエンサーマーケティングの価値はどう変化するとお考えですか。
北出:AIが大量の情報を生成する時代になるほど、人は信頼している人の言葉を選ぶようになると考えています。情報があふれる中でも、自分が信頼する人が「これが良かった」と言えば気になって調べ、最終的に購買につながる。この「信頼購買」という文脈において、インフルエンサーマーケティングの価値はむしろ上昇局面にあると見ています。
たとえば「昨日見たバナー広告や動画広告の内容を覚えていますか?」と聞いても思い出せないことのほうが多いでしょう。一方で、好きなインフルエンサーの発言は記憶に残ります。情報が氾濫するAI時代だからこそ、人からの発信が持つ価値は際立ってくるはずです。

北出:これはもちろん、Web広告が必要ないなどという話ではありません。Web広告はコンバージョンを追うラストタッチのフェーズに強く、インフルエンサーマーケティングはアッパー〜ミドルファネルの深い認知形成に強みがある。どちらかを選ぶのではなく、目的に応じて組み合わせることが重要です。
──なるほど。一方で、最適化へのプロセスという面ではWeb広告の多くがAIによって自動化が進んでいますが、インフルエンサーマーケティングではいかがでしょうか?
北出:AIの活用によって手軽になっていくのはWeb広告と同様です。最終的な出口は「信頼される人」が届けるという強みはそのままにしつつも、広告主様の商材や目的と相性の良いインフルエンサーとのマッチング、次回の施策に向けた効果の振り返りなど、効果を持続的に向上させるためのプロセスはデータに基づいた判断の仕組みが整備され、見直されていくと思います。なお、これにはインフルエンサー側のデータも必要であるため、専門的なパートナーとの協働が現実的でしょう。

