若者受けする味の着想源は「グミ」
──NOPEの中身についてお聞きします。具体的にどのような味わいを目指したのでしょうか?
コンセプトは「ストレスを溶かして欲望のままに過ごすことを肯定する炭酸」です。だらだらしながらずっと飲み続けられる、やみつきになる味を目指しました。ポイントは「満足感のある甘濃(あまこ)さ」と「緻密な香り設計」です。
──甘濃さについて詳しく教えてください。
一般的な炭酸飲料は甘味や酸味を際立たせることが多いのですが、NOPEでは甘味と酸味に加え、苦味・塩味・旨味をあわせた“五味”をしっかりと感じられる設計にしました。これにより、単に甘いだけでなく、飲んだときの味の厚みや体感としての満足度(=濃さ)を表現しています。
──香りの設計も非常に複雑だとうかがいました。
若年層の嗜好がガムからグミへシフトしている背景を踏まえ、グミの味わいに多いトロピカル系や完熟系のフルーツフレーバーを骨格にしています。さらに、バニラに含まれる「バニリン」や、チョコレートに含まれる「ピラジン類」といった、満足感や報酬感につながる香りを複雑に組み合わせました。ブレンドした香りの数は99種類以上にのぼります。
──NOPEというネーミングと、強烈なパッケージデザインに込めた意図を教えてください。
ネーミングについては「ギルティ」とする案もありましたが、ギルティはあくまでカテゴリーのため、最終的にNOPEに落ち着きました。社会のルールの中で賢く生きている自分自身が、逆にストレスになっている人たちに向けて「そんなに頑張らなくていいんじゃない?」と伝える狙いで、社会的にあるべき姿を否定(NO)する意味合いの言葉を選びました。
デザインにおいてはカラーリングを重視しました。色は記憶に残りやすい記号ですから、店頭で一度目にしただけで覚えてもらえるような色使いにしています。炭酸飲料の棚には存在しないブラック&マゼンタの配色を採用することで、他の商品との差別化を図りました。
BOSSを乗っ取り!?攻めた仕掛けに込めた意図
──味やコンセプトもさることながら、攻めたプロモーションがSNSで大きな話題を呼んでいましたね。
自販機の側面に描かれたBOSSのロゴの上にNOPEのステッカーを貼るなど、新しい仕掛けにチャレンジしました。バズを狙うというよりは、社会のルールからはみ出すギルティの世界観を表現する目的で実施したのですが、これほど数多くの方に見つかるとは思っていませんでした。
──テレビCM、デジタル広告、店頭販促など、王道の広告展開をされていると思います。クリエイティブのこだわりはありますか?
新ブランドの認知を確実に広めるため、クリエイティブの一貫性を維持することが戦略でした。テレビCM、デジタル、店頭、どこであっても「ブラック&マゼンタの配色」「独特のアイコン」「『人間してんね』というコピー」の3点を守りました。特にコピーには「ギルティな時間を過ごすこと=人間味のある豊かな時間」という意味を込めています。これにより、あらゆるタッチポイントでブランドの人格を確立できたと考えています。
