現代らし過ぎる「ズレた未来」
2026年で特に象徴的だったのが、「今の価値観を少しだけズラした」タイプのネタだ。
たとえば、Metro by T-Mobileが発表した「CALLoGNE」は、新品のスマートフォン特有の香りに着想を得たフレグランスである。スマートフォンそのものに機能を追加するわけではなく、「箱を開けた瞬間の高揚感」や「新品の匂い」を香水として再現するという発想だ。
通信会社がラグジュアリー香水を出すという時点でズレているが、「新しいデバイスを手に入れたときの感覚」を商品化するという方向性自体は、どこか納得感もある。
もう一つの例が、「空気からプロテインを摂取できる」というエアフレッシュナーだ。「車内で香りを楽しみながら栄養補給もできる」という設定は明らかに誇張されているが、プロテインやウェルネス志向が日常化している今、その発想自体は現実と地続きになっている。
両者に共通するのは、「完全にあり得ない」ではなく、「行き過ぎている」という違和感だ。現代のトレンドや欲望を少しだけ誇張すると、それだけで嘘として成立する。この距離感が、今のエイプリルフールらしさなのかもしれない。
ニュースの「形」をした嘘
プロダクト系とは別に、ニュース形式のネタも一定の存在感を持っている。
たとえば、有名人がNASAのプロジェクトに参加するというニュース。内容だけ見れば明らかにジョークだが、「誰が」「どこで」「何をするか」という情報が整っているため、見出しだけだと一瞬信じてしまう。
ここで効いているのは、内容の面白さではなくフォーマットだ。私たちは日常的にニュース形式の情報に接しているため、その形式をなぞられるだけで、無意識に信頼度が上がってしまう。つまり、嘘は内容よりも「どう見せるか」によって信じられているのだ。
