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【西口一希氏特別連載】マーケティングは何のため?仕事に活きる“OS”を学ぶ

「良い売上」をもたらすのは誰か?顧客を理解するためのフレームワーク

売上ゼロの顧客にかける費用を、どう捉えるか

MZ:「ロイヤル顧客」と「一般顧客」の分け方は、何かあるのでしょうか?

西口:これは、そのブランドや商材の購入サイクルや利用頻度によって、自社で決めます。食品や日用品なら、毎週や毎月、あるいは3ヵ月に一度買う人がロイヤル。生活に密着したアプリなどなら、毎日使う人をロイヤルと定義します。

 図において、ロイヤルと一般層を「現在のビジネス」、離反、認知・未購入、未認知の3層を「成長ポテンシャル」と記しました。現状で売上をいただいているのは前者で、後者からは1円もいただいていません。言い換えると、後者にかけているマーケティングのコストは、前者の方々から得られる「利益」でまかなっているわけです。

5segs(ファイブセグズ)
再掲:5segs(ファイブセグズ)

MZ:もし、ロイヤルと一般顧客からの利益から、この2層にかけるコストを引くとマイナスだったら、どうなるのでしょうか?

西口:それは、事業全体として赤字ということです。なので理論的には、赤字にならないようにバランスを取りながら、新規獲得に投資をしていかないといけません。

 前回で解説したように、ロイヤルと一般顧客だけにフォーカスして事業を続けるのは不可能です。どんなに熱心なファンがいても、時間が経てば、ロイヤル顧客も一般顧客も一定割合が離反し、必ず減ってしまうからです。だから、成長ポテンシャルの3層へ投資し、新規顧客の獲得や離反顧客の復帰を促す活動が欠かせないのです。

 もちろん、事業のステージや市場の状況によって、今は赤字になっても新規獲得にアクセルを踏むべきだ、といったことはあり得ます。ですが、それが常態化していたら危険です。

次も買う意志がある顧客は誰か?

MZ:では、「9segs」とはどういうフレームワークでしょう。顧客を5層ではなく、9層に分けるということですか?

西口:その通りです。簡単にいうと、「5segs」のうち「未認知顧客」以外を、「次の機会に(次の機会も)そのブランドを買いたいか?」という「次回購入意向(NPI:Next Purchase Intention)」の有無で、さらに2分割します。

MZ:NPI、ですか?

西口:はい。前述のように、「5segs」は対象顧客を「認知の有無、購入経験の有無、購入頻度」で5つに分けました。さらに、「次も(次は)買いたいか?」という質問に「買いたい」と答えた人を「積極=NPIあり」、そうでない人を「消極=NPIなし」とします。ちなみに、ブランド自体を知らない人は「買いたいかどうか」もわからないので、未認知顧客は2つに分けられません。なので、全部で9つになるのです。

 「5segs」の分類で使った3つの質問は、認知と購入の状況という事実を訊ねるものです。それに対し、「次は(次も)買いたいか?」というのは、心理を聞いていますよね。これらを掛け合わせているのが、「9segs」という顧客分類の特徴です。

9segs(ナインセグズ)
9segs(ナインセグズ)

MZ:図の上半分、奇数のセグメントが、NPIありの「積極」ということですね。

西口:はい。このうち、企業がいちばん増やしたい顧客層は、どのセグメントかわかりますか?

MZ:やっぱり、多く買ってくれる人だと思うので、図の右端の「1:積極ロイヤル」と「2:消極ロイヤル」でしょうか。

次のページ
良い売上をもたらす「積極ロイヤル」

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この記事の著者

高島 知子(タカシマ トモコ)

 フリー編集者・ライター。主にビジネス系で活動(仕事をWEBにまとめています、詳細はこちらから)。関心領域は企業のコミュニケーション活動、個人の働き方など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2026/05/14 08:00 https://markezine.jp/article/detail/50678

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