安全志向の人は「高齢」「高所得」「高頻度」
「食品の安全性に関する調査」の対象となったのは、食料品を週1回以上購入している人1,059名。調査結果からは、食生活の重点が「利便性」から「安全性」に大きくシフトしている様子がうかがえた。
食品に関するトピックスで最も関心が高かったのは「地産地消」で、認知度1位の「メタボリック・シンドローム」を上回っている。食料品を購入する際に価格と安全性のどちらを重視するかについては、安全性を重視する“安全志向の人”が46.2%なのに対して、価格を重視する“価格志向の人”は35.5%にとどまっている。
また、年齢別に見ると、高齢になるほど価格志向が減少し、安全志向が増加する傾向にある。さらに、収入別では、年収が高いほど安全志向の割合が高い傾向が見られるが、年齢と収入にさほど強い相関関係は見られなかったという。
そのほか、安全志向が高い人ほど、食料品の購入頻度が高くなっており、小まめに購入して新鮮なうちに消費するという購買行動が浮かび上がった。こうしたデータから同調査は、安全志向の人を表すキーワードは、「高齢」「高所得」「高頻度」であると分析している。
「PB商品とNB商品の安全性に違いはない」が7割
食料品を購入する際にもっとも重視するのは「鮮度が高いこと」(95.9%)で、「国産であること」(90.2%)と「食品添加物が入っていないこと」(81.7%)が続き、「信用のおける銘柄(ブランド)であること」(81.4%)を上回っている。これらの要素を「価格プレミアム(どれくらい価格が高くても購入するか)」という観点から見ると、「国産であること」「鮮度が高いこと」に対しては7~8割の人が「高くても買いたい」と回答。その一方で「調理に手間が掛からないこと」に対する価格プレミアムは低く、利便性が相対的に重視されていないことが明らかになった。
また、安全性についてPB(プライベート・ブランド)商品とNB(ナショナル・ブランド)商品を比較調査したところ、全体の71.8%の人が「安全性に差はない」と回答している。
安全なイメージは、「セブンイレブン」と「紀伊国屋」
国内の主要コンビニに対するイメージ調査で、もっとも安全・安心なイメージがあるのは「セブンイレブン」だった。美容や健康に配慮した品揃えを展開している「ナチュラルローソン」は2位となったが、「非常に安全・安心だ」という回答に限るとセブンイレブンを上回っている。全体に、全国展開しているナショナルチェーンのコンビニが上位を占め、ローカルチェーンは下位にとどまった。
主要なスーパーでは、もっとも安全・安心なイメージがあるのは「紀伊国屋」で、肯定的な人の割合はセブンイレブンの数値を上回っている。また、「非常に安全・安心だ」の回答が多いのは、「紀伊国屋」「成城石井」「クイーンズ伊勢丹」「明治屋ストアー」「いかりスーパーマーケット」で、高級スーパーに対する信頼感の高さがうかがえる。また、スーパーにおいても、高級スーパーやナショナルチェーンのスーパーが上位を占め、ローカルチェーンが下位にとどまる傾向が見られた。
ブランドよりも新鮮さを重視したい気持ちはあるものの、実際の購買行動では高級スーパーやナショナルチェーンのブランドにひかれ、その一方で安さが魅力のPB商品の安全性をNB商品と同様に評価する生活者。矛盾しているようにも思えるが、食に関する問題が多発している現状では、これが正直な生活者の気持ちなのかもしれない。
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