基本スタンスは「Zoom-In」
マーケティング・プランニングにあたって、私たちはどこから着手すればよいのでしょうか? プランニング作業とはまるで、一見ごく普通の野球チームを、個性溢れる魅力的で勝てる集団へと仕立て上げていくようなことなのかもしれません。時にそれは希望に満ちた刺激的な作業で、次々とやるべきことのイメージが沸いてくるものかもしれませんし、また時には途方にくれて何をしなくてはならないのかさえ見失いそうになる作業かもしれません。しかも、マーケティング・プランニングは時間との戦いです。だからこそプランニング・プロセスの道筋をしっかりと意識することで、プランニングの偏り(やりすぎ・やらなさすぎ)を回避し、より効果的に作業を進めなくてはなりません。
結論から言うと、マーケティング・プランニングの基本スタンスは“Zoom-In”です。それは徐々に近よって、ズーム・アップしながら、本質にたどり着くアプローチです。一見当たり前のことのように思われるかもしれませんが、ある種のガイドラインを持たない時には、私たちは、「しらみつぶし」の名のもとで、虫メガネを片手にくまなく歩き回るような調べ方・検討をしてしまいがちです。
けれども、俯瞰で物事を見つめながら、狙いを定めて、必要なところに対して虫メガネを取り出して、“Zoom-In”していかなければなりません。すなわち、マーケティング・プランニングのプロセスで重要なことは、「必要に応じて倍率を変えることができるように、複数の虫メガネを持つこと」だと言い換えることができます。
今回は、マーケティング・プランニングのプロセスを、野球チームの場合で考えてみましょう。あなたは高校野球の監督です。ある高校に赴任になり、野球部の監督になったら、まず何から始めたら良いでしょうか?
まず「360度マクロ環境分析」を行おう
最初のステップでは、あなたのチームが勝てるチャンスを少しでも高める可能性を、あらゆる視点から探し出すことです。いきなり、地域の対戦相手となる競合高校チームの分析をするのは早計です。あなたのチームを取り巻く環境で何
が起きているのか、360度のマクロな視点で捉えましょう。
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これは、あなたのチームの強化に生かせそうなチャンスとなる「素材」を探す作業(機会=Opportunityの発見)に他なりませんが、同時にチームの強化に逆風となるリスクである「素材」を探す作業(問題点=Problemの発見)でもあります。むしろ「ピンチのあとにチャンスあり」ととらえ、いかにピンチを乗り切るかを考えることの方が戦略的思考として重要な場合もあるのです。
野球という固定観念にとらわれることなく、虫メガネを使わずに裸眼で、周囲をぐるぐると見渡すのです。すると「これは関係ない」「これはリスクだ」と思い込んでいた意外な素材が、チームの強化に貢献するヒントとなることに気づきます。そこで気づいたポイントに徐々に虫メガネを当てて考えていくのです。これが、マーケティング・プランニングのはじめの一歩、「360度マクロ環境分析」です。
- 社会的動向、経済的動向によるチャンスとリスク
- 消費者の生活動向によるチャンスとリスク
- 当該市場とその周辺市場における競争動向によるチャンスとリスク
- 販売チャネルの動向によるチャンスとリスク
- 法規制変更・技術開発による新たなチャンスとリスク
虫メガネは、狙いを定めて
一通り、360度見渡すことを終えたら、あなたのチームの周辺に虫メガネを当ててみましょう。まず、チームの状況が気になるところです。