3D仮想空間によるコミュニティサービス「セカンドライフ」は、3D空間を探検したり、他のユーザーとコミュニケーションを楽しむだけでなく、3Dオブジェクトをつくって仮想通貨リンデンドルで売買するなど、現実世界のしくみを導入することで、ユーザーに奥深い楽しみを提供してきた。
その一方で、自分のアバター(分身)の見た目を変えるのに必要な細かい設定などを面倒に感じる人は次第に足が遠のき、人気のスポットと言われる場所に意外と人が集まっていないことなどが指摘され、「認知度の割りに利用者は少ない」といった調査結果が発表されたことから、次第に冷ややかな見方をされることが多くなってきた。セカンドライフの自由度の高さ、3D空間の広大さなど、本来長所ともいえる部分が、手軽さを求める飽きっぽいユーザーに敬遠されたかたちだ。
ところが、12月に入ってインプレスが「セカンドライフマガジン」を、角川クロスメディアが「バーチャルウォーカー」という専門雑誌をそれぞれ創刊。さらに、SUNがセカンドライフ専門のフリーペーパー「Life3(ライフキューブ)」を立ち上げるという創刊ラッシュに、あらためて3D仮想空間サービスへの注目が高まっている。
現在最も有名なサービスは「セカンドライフ」だが、国内では3頭身アバターがかわいい「splume」があるほか、新たな3D仮想空間サービスがこれから続々登場する予定となっている。今年3月、ソニー・コンピュータエンタテインメントは、PLAYSTATION Network上で展開する3Dネットワークコミュニティ「Home」のサービスを発表、2007年秋のサービス開始の予定だったが、まだ実現していない。また、トランスコスモス、フロム・ソフトウェア、産業経済新聞社の合弁会社ココアを設立し、2008年春に「meet-me」の一般公開を予定している。さらに、中国のHiPiHiが運営するセカンドライフ・ライクな仮想空間サービス「HiPiHi」の日本での事業展開の権利を8月にngi groupが獲得するなど、2007年末から来年に向けての3D仮想空間サービスは大きな変化を迎えることになる。
とはいえ、盛り上がったり批判したりとにぎやかな外野をよそに、セカンドライフのユーザーたちは、今日も世間の人たちの知らないところで集い楽しみを共有している。ある特撮ファンのセカンドライフの住人は、「いやー、セカンドライフにいると、2時間くらいすぐに経っちゃうんですよ」とニコニコしながら語ってくれた。この創刊ラッシュが、より多様な仮想空間サービスの幕開けを告げるものになることを期待したい。
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