マイクロソフトがXBOXに力を入れていくと言った当時、「任天堂とゲーム文化は、そんな合理的な判断で育ってきたわけじゃない。ゲーム文化は、マイクロソフト的なやり方では育たない」とスティーブ・バルマーに主張した猪子氏。後編ではゲームカルチャーと任天堂の関係についてさらに深くきりこみます。(前編はこちらへ)

インタビュアー:工藤岳(takashi kudo) スウェーデンのゲーム雑誌+Nで働く、謎の日本人の編集者。年齢は30歳
Wiiはまるで僕たち(We)のようだ
「任天堂は典型的な日本の会社だ」と猪子氏は言う。なぜなら、主観的な視点でモノを創造しているからだ。任天堂の新機種Wiiも、また然り。
「Wiiのコントローラーというのは、論理的に見ると、とても変な試みだよ。Wiiのコントローラーも、今までのコントローラーの延長線上で何の問題もないはず。これまでに、任天堂が作り出したゲーム機のコントローラーは、今のスタンダードになったわけでしょ」
「そういう人にとって、あの“棒”は、コントロールしにくいもの。それなのに、任天堂は、今回、非論理的・非合理的な棒を、僕たちに渡してきた。多分、自分たちが、コントローラーを振り回してみたかったんじゃないかな(笑)」
日経ビジネスという日本の経済雑誌は、Wiiが発表されたとき、大きくページを割いた。そこに掲載された写真は、岩田聡社長と宮本茂氏が、Wiiのコントローラーを、テニスラケットのように持って振っていたものだった。
「その写真、とても嬉しそうに見えたよ。“振り回せちゃうんだよ、楽しいんだよ”って。人によっては、その姿を見て、滑稽に思ったかもしれない。でも僕は、すごく格好いいと思った」
「最近、日本では、多くの会社が、ロジカルシンキングだとか、客観的なものの見方を重要視している。でも僕は、主観的だったり、身体的だったり、そのへんが日本人の強みだと思っている。そして、そういう日本人の強みを純粋に受け継いでいるのが任天堂だと思う。“振り回したら楽しいぞ!”ってね」と猪子氏は笑った。
毎日新聞からのインタビューの中で、岩田聡社長は次世代機の競争について興味深いことを語っていた。「任天堂の関心は、ゲーム社会そのものについてであって、他社との競争にはない」と。そして「ライバルは他のメーカーというより、消費者の無関心だ」と加えた。
その話をすると、「『千と千尋の神隠し』みたいだね」と返す猪子氏。
「あの映画には、悪も正義もない。問題は、千尋の内にしかない。色々な人たちとの出会いのなかで、それが解決しました、という話でしょ。岩田さんが言った、ライバルは消費者の無関心だ、というのは、要するに、任天堂の内に問題があるということでしょ?」
猪子氏が言いたかったのは、『千と千尋の神隠し』内での“問題”は、千尋本人の気持ち次第だったということだ。
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MarkeZine編集部(マーケジンヘンシュウブ)
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