放送事業者VODの最高峰を目指す「NHKオンデマンド」
NHKの膨大な番組を提供するビデオオンデマンド(VOD)サービス「NHKオンデマンド」は、平成25(2013)年度の単年度黒字達成を目標としている。これは、NHK受信料支払い世帯の1%、またはブロードバンド利用者の1%を顧客にすれば達成可能な数字である。そのためには、認知度を向上し、「ネットの情報は無料」という有料コンテンツに抵抗感のある消費者意識を少しずつ変えていくことが必要となる。
NHKオンデマンドは今年の1月、単月売上ではじめて1億円を達成した。2008年12月にスタートしたサービスの売上を各年の1月単月の実績でまとめると、以下のようになる。PC系登録会員は2012年1月現在で79万人となっている。

NHKは日々放送される新しい番組だけでなく、過去の番組数も膨大だ。川口アーカイブスの保存番組数は77万本。NHKオンデマンドが「特選ライブラリー」で配信している数は2011年12月時点で4,638本で、全体の0.6%にすぎない。この豊富なアーカイブもNHKオンデマンドの魅力のひとつである。
しかし、番組を配信する際にはさまざまな問題が立ちはだかる。著作権法上の権利者が許諾権を行使してNGとなる場合、「放送」はOKでも「ネット」はNGとなる場合、許諾はとれても権料が高額で配信不可になることもある。また、時間の経過で、放送時の家族・人間関係などが配信時にはまったく異なる状況になる場合、一過性の放送と異なり長期間配信されることへの抵抗感もあるという。
「NHKオンデマンド」では、視聴者・権利者・事業者の三者がWIN-WINとなること、有料課金VODのビジネスモデルを日本に定着させること、放送をフルカバーするキャッチアップ(見逃し番組)と豊富なアーカイブ(特選ライブラリー)をそろえた高品質のコンテンツで放送事業者VODの最高峰をめざす。