勃興するショートドラマ市場、前年から4倍
生活者のスキマ時間に入り込み、2022年頃から急拡大してきた「ショート動画」。TikTokやYouTube、Instagram、LINEなどのプラットフォームでも主流のコンテンツとなり、現在では生活者とのタッチポイントとして欠かせない存在になっている。中でも、注目を集めているジャンルが、「ショートドラマ」だ。
2024年のTikTokトレンドを表彰する『TikTok Awards Japan 2024』では、「ショートドラマ」が特別賞を受賞した。LINEヤフー LINE VOOM統括本部 統括本部長の有本恭史氏は、ショートドラマの市場について、次のように語る。

「コロナ禍で従来型の映画ビジネスが苦戦した中、ショートドラマがグローバルで急速に伸長し、その成長の流れが日本にも広がりました。当社のサービスの中でも大幅に伸びていますが、さらなる成長の可能性を感じています」(有本氏)
Sensor Towerの予測によると、グローバル市場は2024年に約15億ドル(約2,200億円)。また、日本能率協会のレポートでは、日本の市場規模も2024年に100億円に達すると予測されており、これは前年の25億円から4倍の成長率となる。
LINEヤフーが提供するショート動画プラットフォーム「LINE VOOM」でも、ショートドラマの再生時間は前年比で2倍に増加するなど、ユーザーの視聴意欲が非常に高まっていると、有本氏は語る。
利用者は、女性が多い傾向がある。また、他ジャンルと比較して視聴完了率、次の動画への遷移率、そして「いいね」やコメントといったポジティブな反応率が極めて高いという特徴がある。
ショートドラマ市場全体で1,000万人規模の課金ユーザーを目指す
ショートドラマのサプライチェーンは、(1)原作開発・制作(2)広告や都度課金、サブスクリプションによる収益化(3)SNSや広告によるマーケティングの3つで構成されている。
その構造は漫画アプリに類似しており、主要漫画アプリ6社の場合はMAU(月間アクティブユーザー)約2,500万人のうち、4割が課金している。ショートドラマも同等の1,000万人規模の課金ユーザーを戦略的に目指すべきだと有本氏は述べた。
「電子書籍の海外売上は、10年で3倍になった事例もあります。ショートドラマにおいても市場を成熟させ、海外にコンテンツを輸出することで外貨を獲得する未来を実現したいと考えています」(有本氏)
ここからは、日本のショートドラマ制作の第一線で活躍する企業5社の代表がパネルディスカッションの模様をレポートする。目標の1000万課金ユーザーに向け、作品作りや収益方法、世界展開においてどういった課題と戦略があるのかを議論した。